(18日、第106回全国高校野球選手権長崎大会2回戦 海星0―1鹿町工) 七回裏、1死二塁。ここまで無失点に抑えていた第2シード海星のエース、加茂恵投手(3年)は、高めに浮いた直球を中前に運ばれ、決勝点となる適時打とされた。 試合後、淡々と…

(18日、第106回全国高校野球選手権長崎大会2回戦 海星0―1鹿町工)

 七回裏、1死二塁。ここまで無失点に抑えていた第2シード海星のエース、加茂恵投手(3年)は、高めに浮いた直球を中前に運ばれ、決勝点となる適時打とされた。

 試合後、淡々と試合を振り返った。

 「甘く入った。疲労は少しあったが、最後まで投げ切ろうとすぐに気持ちを切り替えた」

 その後は無失点に抑え、「クリーンアップが返してくれるはず」と仲間の打撃力を信じて、113球を投げきった。

 昨夏、決勝で1点差で敗れて甲子園を逃した。その時の悔しさがチームの原動力だった。「打てなくても、打たれなければ負けない」。投手陣は無失点にこだわり、投球や守備を磨いてきた。

 この日は、得意のスライダーを効果的に使い6奪三振。「1点は取られたが自分の中でやることはできた」と手応えも語った。

 身長181センチの右腕から繰り出す角度のある変化球と冷静な性格でエースの看板を背負ってきた。加藤慶二監督は「投球は非常に良かった。これまでの試合でも安定感があり、頑張ってくれた」とたたえた。

 田中朔太郎主将(3年)は「初戦で緊張する部分はあったが、投手が1失点で抑えているのに打撃で返せなかった。相手投手は緩急や変化球がうまく、守備も良かったのでヒットだと思っても打ち取られ精神的にきつかった」と振り返った。

 1試合で終わった夏。少し疲れた表情でユニホームで汗をぬぐった加茂投手は、「最後の打者は2年生だった。初戦負けの悔しさを忘れずに頑張ってほしい」と後輩へバトンを託した。(榧場勇太)