サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は長いか、短いか。■気になる鈴木優磨の「パンツ」 ここ数年間、気になってきたことがある。鹿島アント…

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は長いか、短いか。

■気になる鈴木優磨の「パンツ」

 ここ数年間、気になってきたことがある。鹿島アントラーズのFW鈴木優磨選手のサッカーパンツである。誰でも知っているように、彼は常にパンツを短くたくし上げ、太ももを大きく露出させている。試合が白熱してきて、というのではない。キックオフの瞬間からずっとこの姿なのだ。

 レフェリーが注意するのを見ることはない。もちろん、ルールに違反しているわけではないからだ。ルール第4条では、選手が義務として身につけなければならない基本的な用具として、下記の5つのものが挙げられている。

 ・袖のあるシャツ

 ・ショーツ

 ・ソックス

 ・すね当て

 ・靴

 ルール上では「ショーツ」だが、プレーヤーたちも通常は「パンツ」「サッカーパンツ」と選手たちも呼んでいるので、ここでも「パンツ」で進めることにする。

 鈴木優磨選手は、間違いなくパンツを着用している。ルール違反には当たらない。私が気になるのは、「スポンサーのロゴが見えなくていいのか」という点だ。「細かなことが気になってしまうのが、僕の悪いクセ」である。

 鹿島のユニフォームのパンツには、右足の前部にユニホームメーカーである「ナイキ」のロゴが入り、左足は前部に「株式会社カネカ」、後部に「高砂熱学工業株式会社」のロゴが入っている。カネカは大手総合化学メーカーであり、高砂熱学は空調設備会社である。他の選手だと、きちんと露出しているこの3社のロゴが、チームのキャプテンであり、エースであり、おそらくテレビに映ったり、写真としてメディアで取り上げられることが最も多い鈴木優磨選手の場合、まったく露出されない。

 スポンサーとの契約上いかがなものかと、他人事ながら、気になってしまうのである。

■シャツ「イン」か「アウト」か

 もっとも、「スポンサーのロゴが露出されていない」という点では、まったく違った形もある。柏レイソルのMF戸嶋祥郎選手は、Jリーグでも私の大好きな選手のひとりなのだが、彼は古来ゆかしくシャツをきちんとパンツの中に入れている。そのため、シャツの背面下部に入っている「株式会社日立ビルシステム」の赤いロゴが見えない状態になっているのである。

 「シャツイン」か「シャツアウト」かのテーマについては、また別の機会に考えたいが、ともかく、スポンサーと試合の場で広告の掲出を約束(契約)したプロサッカークラブが、選手によって、それを実行できていないという状態はどうなのだろうか。

 私は、戸嶋選手の場合なら、パンツ上部にスポンサーロゴを入れたらいいのではないかと思う。鈴木優磨選手のようにパンツをたくし上げる選手の場合は、太ももにでもプリントするか、ステッカーを貼りつけることになるのだろうか…。

 数年前には、鈴木優磨選手ばかり目立っていた「パンツたくし上げスタイル」だが、近年ジワジワと広がりを見せている。ヴィッセル神戸のFW大迫勇也選手もそのひとりだ。その他にも何人もの選手がパンツをたくし上げたスタイルでプレーしているのを見るようになった。

■「長・中・短・極短」用意すべし

 そのひとつの原因が近年の異常な暑さにあるのは間違いない。気温が高いだけでなく、湿度が高い。スタンドの記者席にいても、耐え難い蒸し暑さの中、大量に水を撒いたピッチ上で走り、戦う選手たちが、どれほど蒸し暑さを感じているのか、想像を絶している。長いパンツが太ももにはりつくのがイヤでたくし上げる。そして、それが常態化していくのだろう。

 鈴木優磨選手や大迫選手など長いパンツをイヤがる選手のために、なぜ短いパンツが用意されないのだろうか。それぞれの望む長さのパンツをつくることで、広告もしっかりと露出できるはずだ。「長・中・短・極短」など何種類かの長さのパンツをつくり、選手に選ばせるべきだと、私は思うのである。

きっちりとシャツをインする柏レイソルの戸嶋祥郎には、好感しかないのだが…。撮影/原壮史(Sony α-1)

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