(17日、第106回全国高校野球選手権鹿児島大会2回戦 屋久島0―2樟南) 四回まで1人の走者も出せずに迎えた五回表の屋久島の攻撃。先頭の4番日高了選手(3年)は「これが最後の試合になるかもしれない。ヒット一本は打ちたい」と臨んだ。2球目…

 (17日、第106回全国高校野球選手権鹿児島大会2回戦 屋久島0―2樟南)

 四回まで1人の走者も出せずに迎えた五回表の屋久島の攻撃。先頭の4番日高了選手(3年)は「これが最後の試合になるかもしれない。ヒット一本は打ちたい」と臨んだ。2球目を引っ張ると右前安打に。2死二塁となり、7番清田大将選手(1年)の左前安打で本塁へ突入。アウトになったが選手たちは手応えを感じた。

 その裏の守り。1点を失い、さらに1死満塁のピンチ。日高選手が遊ゴロを本塁に送球して2死に、捕手はリードが大きい三塁走者を刺した。「いい攻撃ができて守りにも流れができた」

 部員13人のチームが、強豪の樟南に最後まで食い下がり2点差の惜敗。河口悠真主将(3年)は、「今までで最高のゲームでした。強い相手でも、びびらずにできた」と誇らしげに話した。

 3年生6人が入部した一昨年、昨年と初戦で敗れた。部員不足で昨春の県大会は連合チームで出場。目標は「屋久島単独チームで勝利」に定まった。

 今大会の初戦、出水商を下し5年ぶりの勝利を収めた。日高選手は「校歌を聞いて素直に感動しました」という。部員が少ないため、試合前のシートノックでは対戦相手の樟南が補助員を出してくれた。「大会ではいつも配慮していただき、ありがたい」と花木孝輔監督は感謝する。一方、部員が少ないことには長所もあるという。「1人当たりの練習時間が多くなるし、じっくり指導ができるから」。

 離島のチームは、大会出場の負担が大きく練習試合の相手が限られる。河口主将は「離島は不利といわれるけど、強豪と九回まで競ったゲームがやれた。後輩にも、ほかの離島の子にも『離島でもやれるんだ』と伝えたい」。(宮田富士男)