(17日、第106回全国高校野球選手権岩手大会2回戦、専大北上2―3花巻南) 先発のマウンドを託された高橋昇聖選手(3年)の背番号は「9」。本職は外野手だ。昨秋から投手を始め、投打二刀流でここまでやってきた。 七回の投球はすばらしかった。…

 (17日、第106回全国高校野球選手権岩手大会2回戦、専大北上2―3花巻南)

 先発のマウンドを託された高橋昇聖選手(3年)の背番号は「9」。本職は外野手だ。昨秋から投手を始め、投打二刀流でここまでやってきた。

 七回の投球はすばらしかった。1死二塁のピンチ。「普段は直球で追い込んで変化球で打ち取ることが多いけど、自信のある直球で打ち取りたかった」。2者連続三振で切り抜けてみせた。

 岩手県花巻市出身。12歳以下(U12)日本代表になったこともある選手。知る人ぞ知る逸材だ。

 だが、高校生になり、少しつまずきがあった。

 最初に入った高校になじめなかった。1年生の6月に専大北上に転校。その年の夏が終わり、新チームになったところで野球部に加入した。

 「途中から入った自分を受け入れてくれたチームには感謝しかないです。勝利で恩返しをしたかった」。この日、3失点と粘りの投球をみせたが、自然と涙が出てきた。

 だが、野球人生はこれからのほうが長い。今後も「二刀流」を続けるのか、聞いてみた。

 「投手もいいけれど、プロになることを考えたら打者にしぼったほうがいいと思います。プロになって、今度こそプレーや勝利で恩返ししたい」

 負けた今日から、新たな一日が始まる。(藤井怜)