(17日、第106回全国高校野球選手権熊本大会3回戦、天草工10―1熊本高専八代) スコアボードを見ると相手の得点は7で、味方の得点と安打数は0。五回表、熊本高専八代の選手たちは「ここで流れを変えなくては」という気持ちで攻撃に入った。 1死…

(17日、第106回全国高校野球選手権熊本大会3回戦、天草工10―1熊本高専八代)

 スコアボードを見ると相手の得点は7で、味方の得点と安打数は0。五回表、熊本高専八代の選手たちは「ここで流れを変えなくては」という気持ちで攻撃に入った。

 1死となり打席に入った園田智駿(ちはや)投手(3年)は「何が何でも出塁しよう」と、2ストライクからボールを見極めて四球で出塁した。

 2回戦では16奪三振の完封勝利を収めたが、この日は足技をからめたり、ファウルで粘ったりする相手打線にペースを狂わされ、思うような投球ができずにいた。それでも仲間の反撃を信じて力投を続けた。

 「続いてくれ」。犠打で2死二塁とした後に、弓削翔馬主将(3年)がチーム初安打を左前に落として続いた。前の打席から狙っていた外角低めを逆らわずに運んだ。

 2死一、三塁。打席に入った坂下煌明(あきはる)選手(3年)は、3球目、直球が真ん中甘めに入ったのを逃さなかった。中前に運び、待望の1点の本塁を園田投手が踏んだ。「夜9時までティー打撃をした成果が出ました」と坂下選手。

 得点を重ねられてもエースを信じた野手と、失策があっても淡々と投げ抜いたエースと。3年生たちが口をそろえて誇ったチームワークの良さがもたらした得点だった。(吉田啓)