(17日、第106回全国高校野球選手権東東京大会3回戦 共栄学園2―0立志舎) 無心で腕を振った。共栄学園の城戸口陸斗(3年)は公式戦初先発が人生初完投になった。「回も得点も見ていなくて。やっと終わったーって感じです」。105球を投げ、被安…

(17日、第106回全国高校野球選手権東東京大会3回戦 共栄学園2―0立志舎)

 無心で腕を振った。共栄学園の城戸口陸斗(3年)は公式戦初先発が人生初完投になった。「回も得点も見ていなくて。やっと終わったーって感じです」。105球を投げ、被安打3の完封だった。

 背番号20。共栄学園は2、3年による選手間投票でベンチ入りするメンバーとともに背番号を選ぶ。1~9は先発、10~20は「勝つために必要なメンバー」。城戸口は今夏、ぎりぎりで選ばれ、原田健輔監督から「見返してやれ」と言われていた。

 3回戦の先発は6月末に告げられていた。「負けたらしょうがない。監督のせいにすればいい」。前日は10時間寝るほどの「強心臓」ぶりで、緊張もしなかった。

 試合では、真ん中をめがけてひたすら投げ続けた。一回から4者連続で三振を奪う場面もあったが、「球数が増えるじゃないですか、だから、本当は打たせて取った方がいいんです」と涼しげだ。

 レベルの高いところで野球がしたくて、共栄学園に入った。入学当初は体重50キロ。チームの方針で食事トレーニングをして、いまは75キロに。成長を見込んで買った大きめの制服のズボンは、ぱつぱつになった。

 チームは昨夏、甲子園に初出場し、今夏も期待がかかる。だが、本人はいたって冷静だ。「ずっとレベルは一番下だった、そんな野球人生。任されたところで投げる。一戦必勝でやるだけです」=神宮(野田枝里子)