サッカー男子パリオリンピック日本代表のメンバーに選出された、ドイツ・ブンデスリーガ一部のヴェルダー・ブレーメンに所属する佐藤恵允(22)。代表への合流を前に、7月13日、ドイツ・デュッセルドルフで行われたブレーメンのセカンドチームの練習試…

 サッカー男子パリオリンピック日本代表のメンバーに選出された、ドイツ・ブンデスリーガ一部のヴェルダー・ブレーメンに所属する佐藤恵允(22)。代表への合流を前に、7月13日、ドイツ・デュッセルドルフで行われたブレーメンのセカンドチームの練習試合に出場し、その「肉体の変化」を見せつけた。

■試合後はチームバスに荷物を運ぶ「元気さ」

 渡仏直前の佐藤は、前半限定での出場に。試合開始時は左サイドのアタッカーの位置にいたものの、定期的に右サイドと入れ替わり、プレー機会は両サイドで半々となった。
 45分間という限られた時間の中で、佐藤は積極的なプレーを続けた。左から得意のドリブルで切れ込んだと思ったら、右では縦への突破を見せる。ゴールにはならなかったものの、大外からクロスに合わせる動きも両サイドで見せた。
 また、守備でも走力と積極性を示し、GKにまでプレスをかけるだけでなく、中央で持ち上がろうとした相手の背後からスライディングして、クリーンにボールを奪うプレーも披露した。
 中でも目を引いたのは、U23アジアカップのときよりも、大きくなった肉体だろう。海外の屈強なディフェンダーに対しても、当たり負けすることは、ほとんどなかった。
 後手に回った相手に足を削られてしまう、危うい場面もあったが、試合後は走り足りなかったのか、小走りでチームバスに荷物を運ぶなど、元気そのもの。得点には至らなかったが、好調ぶりをアピールした。代表に合流後は、本番に向けて、肉体や精神を、さらに追い込んでいくことになるだろう。

■斉藤と佐藤「ライバル関係」がもたらすもの

 最近はU-17やU-20の国際大会でも、各国がチームとして組織されたサッカーを披露。豊富な運動量を見せており、「個」としての違いを見せられる選手が不在の場合、差が生まれにくい傾向がある。
 クラブだけでなく代表チームでも、そのトレンドを取り入れ、それを形にするスピードはスペイン代表やペップ・グアルディオラ監督のパスによるボール保持サッカーが大流行したときよりも格段に早くなっている。
 そんな時代に行われるパリ五輪。体の厚みもキレも増し、ドイツのDFを押し戻しながらグイグイ突き進む佐藤は、フランスの地で勝ち進むための大岩ジャパンの大きな武器になってくれることだろう。
 オランダ1部リーグのスパルタ・ロッテルダムに所属する斉藤光毅(22)に、エースナンバーである10番は譲ったものの(佐藤はアジアカップまで10番、現在は18番)、大岩剛監督からの信頼はあつい。
 1998年のフランスW杯に出場し、優勝したフランスに惜敗したイタリア代表の背番号10番は、アレクサンドロ・デルピエロ。そして、18番は94年アメリカ大会の悲劇のヒーロー、永遠の10番、ロベルト・バッジョだった。
 現代サッカーにおいて、背番号の重みは薄れたのかもしれない。ただ、98年のイタリア代表のように、2人のライバル関係がチームに良い緊張感(?)をもたらし、日本代表の躍進につながることを願いたい。
 ラストピース斉藤光毅と、進化を遂げた佐藤恵允、2人のドリブラーが「個」としての違いを、フランスの大舞台で見せてくれることを期待しよう。

キックの精度でも「違い」を見せた佐藤恵允。撮影/原壮史(Sony α‐1)。

いま一番読まれている記事を読む