「巨人2-1阪神」(16日、東京ドーム) 球数は優に100球を超えていた。降板の可能性も十分にあったが、阪神・才木がマウンドへ向かう。「がんばれ、がんばれ、才木!」。左翼席の虎党からも自然と声援が送られた。「絞りきってというか、思い切って…

 「巨人2-1阪神」(16日、東京ドーム)

 球数は優に100球を超えていた。降板の可能性も十分にあったが、阪神・才木がマウンドへ向かう。「がんばれ、がんばれ、才木!」。左翼席の虎党からも自然と声援が送られた。「絞りきってというか、思い切っていきました」。プロ最多133球の熱投。勝ち星だけに見放された。

 1点ビハインドの八回2死一塁。丸への初球が暴投になって、得点圏へ走者が進んだ。一度、間を取って、丸との対決を選択。最後は151キロの直球で右飛に抑えた。全力でほえて、力強くガッツポーズ。今季ワーストの9安打を浴びながら、大量点は与えなかった。

 悔やまれるのは立ち上がり。1死一、二塁から岡本和に先制適時打を献上。続く大城卓には適時二塁打を打たれた。「初回に2点を取られたのが結果的に全てになっちゃった」。今季3度目の初回に2失点。「もったいなかった」と何度も反省の言葉を口にした。

 相手先発は同学年の山崎伊。高校時代はともに兵庫県内で甲子園を目指していた。「向こうもすごくいい投手なので、初回に2点を取られたのがちょっとしんどい」。相手右腕もプロ最多128球の力投。意地と意地がぶつかり合ったが、才木に勝利の女神はほほ笑んでくれなかった。

 それでも、責める人はいない。岡田監督も「そら、すごいすごい」と初回に38球を要しながら、完投したことを評価した。才木自身は「疲労感的にもまだまだいけた」と涼しい顔。桐敷がベンチ外、石井も3連投中の苦しいブルペンを救う形にもなった。

 打線は4試合ぶりに援護してくれたが、1点止まり。登板日が日曜日から火曜日に代わって4試合目で、まだ白星を挙げられていない。「1点が勝負になる試合が多い。そういう試合で勝ちきれるようにやっていきたい」。前半戦は自己最多タイの8勝でフィニッシュ。後半戦は、きっと勝利の女神がほほ笑んでくれる。