(16日、第106回全国高校野球選手権鹿児島大会2回戦、鹿屋中央7―5出水中央) 昨夏の鹿児島大会準優勝の強豪、鹿屋中央との点差はなかなか埋まらない。3点を追う八回裏1死一、二塁。打席に立った出水中央の長野凌平選手(2年)は冷静だった。「ピ…

(16日、第106回全国高校野球選手権鹿児島大会2回戦、鹿屋中央7―5出水中央)

 昨夏の鹿児島大会準優勝の強豪、鹿屋中央との点差はなかなか埋まらない。3点を追う八回裏1死一、二塁。打席に立った出水中央の長野凌平選手(2年)は冷静だった。「ピッチャーの初球は、いつもまっすぐ。1発でバントを決める」

 初球は読み通り。勢いを殺すようにバットの先に当て、投手と三塁手の間の絶好の位置に転がした。守備のエラーを誘い、その隙に走者2人が一気に生還。相手の背中をとらえた。「彼のバントは絶妙。あんなにうまいやつはおらん」と右田一彦監督をうならせる腕前。背番号19がチームを沸かせた。

 だが、反撃はそこまで。続く打者は2者連続で投ゴロに打ちとられ、1点差は埋まらない。逆に直後の九回表で1点を失い、突き放された。

 それでも「試合の流れを作れるのがバントのおもしろさ。これからも腕を磨いていきたい」。来年は3年生。確かな手応えをつかんだ。(加治隼人)