(16日、全国高校野球選手権北北海道大会準々決勝 遠軽1―3白樺学園) 2点を追う九回2死。遠軽ベンチから背番号15の岡村逸斗主将(3年)が代打で登場した。 控えの三塁手で地区大会から三塁コーチを務めてきた。「最後の思い出作りではない。代打…

(16日、全国高校野球選手権北北海道大会準々決勝 遠軽1―3白樺学園)

 2点を追う九回2死。遠軽ベンチから背番号15の岡村逸斗主将(3年)が代打で登場した。

 控えの三塁手で地区大会から三塁コーチを務めてきた。「最後の思い出作りではない。代打の一番手」。阿波克典監督が切り札を送り出した。

 遠軽町出身。11年前、遠軽が選抜21世紀枠で甲子園に出場した。町民一体で観戦し、遠軽にあこがれた。「遠軽を甲子園に連れて行く」。地元で野球を続け、地域の人から声をかけられるたびに思いが強くなった。

 今年、チームは史上最多の78人の部員を抱えた。レギュラー争いを勝ち抜いた正選手に控えの立場でどう声をかけたらいいか悩んだこともあった。「厳しく言うことへの抵抗は1ミリもない」。夏の甲子園に出場するのに必要なことだと割り切った。

 この夏の初打席。スタンドの部員や友人たちを見て、気持ちが乗った。3球目、内角の直球をフルスイングで空振り。次の球、同じように強振した打球は左翼の深くへ飛んだが、力及ばなかった。

 「最後まで遠軽のフルスイングの野球を貫けた。そこに悔いはない」。試合後、笑顔はさわやかだった。「今後は町民の一人として、遠軽が甲子園に行く支えになる」。そう宣言した。(古源盛一)