「ボクシング・ダブル世界タイトルマッチ」(9月3日、有明アリーナ) 4団体統一世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(31)=大橋=がWBO2位で元IBF王者のTJドヘニー(37)=アイルランド=と防衛戦を行うことが16日、都内で発表された…

 「ボクシング・ダブル世界タイトルマッチ」(9月3日、有明アリーナ)

 4団体統一世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(31)=大橋=がWBO2位で元IBF王者のTJドヘニー(37)=アイルランド=と防衛戦を行うことが16日、都内で発表された。尚弥の防衛戦は5月6日に東京ドームでルイス・ネリ(29)=メキシコ=を6回TKOに下して以来で、WBC・WBO王座は3度目、WBA・IBF王座は2度目の防衛戦となる。

 ドーム後はIBF・WBO1位のサム・グッドマン(オーストラリア)、WBA1位のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)の名が挙がっては消えたが、ドヘニーも危険な相手だ。

 2018年には岩佐亮佑に判定勝ちしてIBF王座を奪い、19年には高橋竜平にTKO勝ちで王座防衛し、昨年は尚弥と同門の中嶋一輝からTKO勝ちでWBOアジアパシフィック王座を奪った日本人キラー。昨年は尚弥のスパーリングパートナーのジャフェスリー・ラミド(米国)にもTKO勝ちしており、ドームでは尚弥-ネリ戦のリザーバーとしてブリル・バヨゴス(フィリピン)をKOするなど3連続KO勝利中と絶好調で、尚弥や大橋ジムとは何かと縁がある選手でもある。

 現在、岩佐戦以来という米マサチューセッツ州スプリングフィールドで合宿中のドヘニーはこの日、コメントを発表。「私が真のスローバック戦士であることは誰もが知っています。素晴らしい戦いを挑むつもりです。自分の力と不屈の精神を信じています。過去の(井上と戦った)他の人たちのように逃げたり生き延びようとしたりはしません。私は戦いに臨みます。最も優れた者が勝利しますように」とアグレッシブに語った。

 ドヘニーのプロモーターであるマイク・アルティムラ氏は「岩佐戦以来のヘクタ・バミューダジムで練習するのは、それだけ真剣に取り組んでいるということ。『今までの井上の相手みたいに逃げ回ったりしない』と言っている。真剣に戦いに挑むと。今まで強い相手と戦ってきたけど、パウンド・フォー・パウンドに入っているようなレベルの選手じゃない。井上は過去の選手とはレベルが違う。だから練習もレベルを上げて臨まないといけない」と補足。

 アルティムラ氏によれば、米合宿前、ドヘニーは在住するオーストラリアでキャンプ前キャンプを張った。過去3戦は約1カ月しかキャンプを張らなかったが、「今回は重要な試合なので長いキャンプを張った」という。ドヘニーにとって井上戦は「勝敗によって、ただの世界王者経験者で終わるか、伝説的な選手になるかの違いが出てくる大事な試合」だとした。

 尚弥も「ここ最近すごくいい試合をしてるので、自分の中でも気を抜けない相手だなというのは率直に思いましたね。試合本番を通して実力をすごく発揮する選手だなという印象を持ちます。一発もあるし、体も自分よりデカいし、前半の緊張感というのはすごくあると思います」と油断はなし。

 大橋秀行会長は「ネリかネリ以上の怖さがありますね。思い切りがいいし、パンチも思い切り振って来る。何よりネリと同様に勝ちに来る選手なんで、よく言う倒さないでくださいよっていう戦法じゃなくて、勝ちに来るスタイルなので、危険なシーンもあると思いますね」と指摘。「挑戦させてくれ挑戦させてくれってずっと(要求が)来て、SNSでも直接来てたんで、本人から」と、意欲的なアプローチも明かしていた。