(16日、第106回全国高校野球選手権愛媛大会1回戦、帝京五0-1宇和) 宇和の右腕エース渡部遙斗(3年)が、一昨年の優勝校・帝京五を相手にノーヒットノーラン(無安打無得点試合)を達成した。 渡部は最速140キロの本格派。緩急をつけて内外角…

(16日、第106回全国高校野球選手権愛媛大会1回戦、帝京五0-1宇和)

 宇和の右腕エース渡部遙斗(3年)が、一昨年の優勝校・帝京五を相手にノーヒットノーラン(無安打無得点試合)を達成した。

 渡部は最速140キロの本格派。緩急をつけて内外角に投げ分け、四回2死までは1人の走者も許さなかった。与四死球3、投球数125で投げきった。

 「向こうもいい打者ばかりなので、最後までランナーが出ないよう意識して投げた。出た場合はギア上げて、それ以上(走者を)出さない勢いでいった」

 宇和は昨秋、今春の県大会は、部員不足で連合チームで出場した。2回戦の相手は昨春、昨秋の県大会を制した第1シードの松山商だ。

■エースによる投手戦

 スコアボードに数字の「ゼロ」が並んだ。帝京五―宇和は、両エースによる投手戦となった。

 土壇場のチャンスを勝利につなげたのは宇和だった。九回裏、宇和の攻撃は2死二、三塁。マウンドで帝京五のエース竹村勇希投手(3年)は三振を狙っていた。

 宇和の兵頭重春選手(3年)への5球目をバットに当てられた。ボールはショート奥に向かってバウンドし、内野安打に。三塁走者がサヨナラのホームを踏んだ。

 丁寧なピッチングを見せた宇和の渡部投手は試合後、「抑えられてよかった。味方がチャンスをつくってくれた」と謙虚に語った。

 帝京五の竹村投手は、横から内角へ食い込むボールを武器に最終盤まで投げ負けなかった。「調子は良かった。余計なランナーをためないよう意識した」。けがなどに苦しみ、エース番号をつけたのは今春から。小学2年で野球を始め、多くを投手として過ごしてきた。これで野球からは卒業する。

 投げ合いになった渡部投手について、「3ボールからもアウトコースに決めてくる。いい投手だった」とたたえた。

 「ほんとによく頑張った」。竹村投手は、最後のミーティングで高谷学監督から声をかけられた。涙があふれ出していた。(広島敦史、中川壮)