(16日、第106回全国高校野球選手権和歌山大会2回戦 智弁和歌山7―0笠田) 「一瞬だけ、ほっとします」 初戦で快勝した智弁和歌山の中谷仁監督はそう言って、胸をなで下ろした。 昨夏、優勝候補に挙げられながら2回戦で高野山に2-4で敗れ、2…

(16日、第106回全国高校野球選手権和歌山大会2回戦 智弁和歌山7―0笠田)

 「一瞬だけ、ほっとします」

 初戦で快勝した智弁和歌山の中谷仁監督はそう言って、胸をなで下ろした。

 昨夏、優勝候補に挙げられながら2回戦で高野山に2-4で敗れ、2001年以来となる初戦敗退を喫していた。

 この日、三回までは互いに無得点だったが、四回に先頭打者で身長188センチの奥雄大(2年)が右越えソロ本塁打を放ち、均衡を破った。

 さらに春の県大会からスタメン起用されている1年生、松本虎太郎が公式戦初本塁打となるアーチを左翼席へ。松本は「めっちゃ緊張して、今までにないぐらい(心臓が)バクバクした。1打席目の四球でちょっと楽になって、2打席目は楽に入れたのが良かったかな」と笑顔がこぼれた。

 中谷監督は「僕自身も緊張感があった」とし、「それが選手たちに影響してしまって、序盤の攻撃になってしまった」。硬さが見えていた打線は、下級生の一発をきっかけに活気づいた。スタンドのブラスバンドが演奏する「ジョックロック」の後押しも受け、12安打7得点で7回コールド勝ちした。

 昨夏の敗戦を経験した捕手、上田潤一郎(3年)は「『勝てるやろう』っていう気持ちが少しあったので、ああいう結果になったのかな」と当時を振り返る。

 少しでも味方が怠慢な動きを見せれば、試合中でも厳しく指摘し合った。「派手なプレーじゃなくて、細かいプレーをしっかりやる。それをやれば結果は出る」と上田。激しいレギュラー争いもあり、選手個々の能力に磨きがかかった。

 3季ぶりの甲子園に向けて、もう油断は一切ない。=紀三井寺(室田賢)