2008年の北京大会以来16年ぶりに、24歳以上のオーバーエージ枠がゼロになったことでも大きな話題となっているサッカー男子パリオリンピック日本代表。 メンバーに選出された、ドイツ・ブンデスリーガ一部のヴェルダー・ブレーメンに所属する佐藤恵…

 2008年の北京大会以来16年ぶりに、24歳以上のオーバーエージ枠がゼロになったことでも大きな話題となっているサッカー男子パリオリンピック日本代表。
 メンバーに選出された、ドイツ・ブンデスリーガ一部のヴェルダー・ブレーメンに所属する佐藤恵允(22)が代表への合流を前に、7月13日、ドイツ・デュッセルドルフで行われたブレーメンのセカンドチームの練習試合に出場し、その「肉体の変化」を見せつけた。

■U23アジア杯では「スーパーサブ」的な扱い

 久しぶりの実戦でプレーの感触を確かめ、五輪に向けた最終調整を行った佐藤。2021年10月、パリ五輪を目指すU‐23日本代表チームの立ち上げで初の代表入りを果たした明治大学の2年生は、自身初となる国際試合で力強いドリブルで強烈な存在感を放ち、その後もコンスタントに招集されてきた。
 だが、最終の18人のメンバーが発表されると、U23アジアカップではスタメン出場よりも途中投入されることが多く、スーパーサブ的な扱いで結果(無得点)を出せなかったこともあってか、それまでの招集歴からすると当然と思われる選出だったのにもかかわらず、一部で佐藤の選出は「サプライズ」として報じられた。
 Jリーグを経ずに海外へと旅立った彼は、五輪前の1年をブレーメンのセカンドチーム(U-23)で戦い、日本で話題になることは決して多くはなかった。また、所属チームでのプレー機会が多いか少ないかでも入れ替わりが激しくなる、世代別の代表において、彼の代表以外での活躍は、日本の人々には、ほぼ知られていなかった。
 だが、心配はいらない。
 13日に行われた練習試合だけを見ても、そう断言できる。

■トップチーム昇格を狙う「質も強度も高い」試合で…


 すでにオフシーズンとなっている欧州において、この日は久々に訪れた実戦の機会。フォルトゥナ・デュッセルドルフとブレーメンによる試合は、セカンドチームのテストマッチにもかかわらず有料で、観客を入れて行われた。
 気温23度の晴天で、涼しく快適な1日となったこの日は、赤ちゃんをベビーカーに乗せた近所の家族や、ピッチの向かいのカフェでビールをプラスチックカップに入れてもらった地元のファンなど、100人ほどが訪れた。
 未就学児であろう小さな子どもたちがスタンドを歩き回り、大人たちは友人と、あるいは顔なじみのゲートキーパーやチーム関係者たちと和やかに歓談するスタジアムは、ドイツの人々にとっては日常の一部であり、休日の社交場だった。
 のどかな雰囲気の中で行われた試合だが、この時期のテストマッチは、選手たちにとって重要なアピールの場。
 トップチームへの昇格を狙う、というだけでなく、このオフに新しくセカンドチームにやって来た選手たちや、まだ公式リストに登録されていない練習参加中の選手らが混在しており、質も強度(プレーの激しさ)も決して低くない。
 ブレーメンの選手の中には、V・ファーレン長崎(昨シーズンは松本山鹿へ育成型期限付き移籍)のジョップ・セリンサリウの姿もあり、彼は後半にプレーした。
パリ五輪出場のため、フランスへと渡る直前の佐藤は、前半限定での出場となった。

練習試合に参加したV・ファーレン長崎のジョップ・セリンサリウ(左)。撮影/原壮史(Sony α‐1)

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