「巨人0-2阪神」(15日、東京ドーム) 阪神は先発したビーズリーの好投と大山の活躍で首位巨人を破り、ゲーム差を0・5に縮めた。デイリースポーツ評論家の岡義朗氏は、二回無死一塁から二盗を仕掛けて失敗した佐藤輝明内野手(25)について、「あ…

 「巨人0-2阪神」(15日、東京ドーム)

 阪神は先発したビーズリーの好投と大山の活躍で首位巨人を破り、ゲーム差を0・5に縮めた。デイリースポーツ評論家の岡義朗氏は、二回無死一塁から二盗を仕掛けて失敗した佐藤輝明内野手(25)について、「あそこはアウトになってはいけない場面」と語り、スタートの悪さを指摘した。

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 阪神はビーズリーがよく投げ、大山の適時打で勝負を決めたが、2点目の走者になった佐藤輝の好走塁は光ったね。

 (先発したビーズリーは6回を被安打5。8三振を奪う力投で無失点。打線は四回2死一、三塁から大山の左翼線二塁打で2点を先取し、石井-桐敷-ゲラの継投で逃げ切った)

 左翼線への当たりで一塁から一気に生還するのは簡単なことではないけどね。スタートがよかった。それと脚力。やはり彼には走れる力があるということ。

 ただ、それだけにね。二回の盗塁死が残念というか、ちょっと気になった。

 無死一塁で打者大山。2ボール1ストライク。盗塁の考えにくいこの場面で走ってきたのだから当然、サインだろう。しかも、かなり自信のある“勝負手”のように感じた。

 状況や走者を考えると、赤星の動作からモーションを“盗める”という確かな根拠があったに違いない。そして、そのデータはチーム内で共有されていたはずだ。

 佐藤輝がスタートした瞬間、とっさに去年の日本シリーズを思い出したね。あの盗塁がきっかけとなって一気に山本由伸を攻略したからね。

 (昨年のオリックス-阪神の日本シリーズ第1戦。0-0で迎えた五回表。一塁走者の佐藤輝はノイジーの初球に二盗を試み成功。若月の送球も右へそれるまさに意表を突く盗塁で、その回一挙4得点。試合を大きく動かした)

 しかし、この日の試合では、せっかくの情報をうまく生かせなかったのかな。無死でもあり、絶対にアウトになってはいけない場面だったが、スタートも決してよくなかった。

 仮にセーフなら“クセがバレているのか”と相手に動揺が広がり、赤星の投球にも影響が出た可能性がある。阪神としてはこの時点で有利な展開に持ち込めたかもしれない。

 得点力に悩む阪神だけに、動いて点を取ることも必要なのだが、逆にアウトになったことで、その後の攻撃を難しくしたと言えなくもない。それだけ重要な意味をもつ仕掛けだったと思う。

 近本や中野には警戒心が強いが、佐藤輝でもいけるという期待感がベンチにはあるのだろう。

 だが、あのシーンでベストスタートを切れたのか。どうだったのか。このアウトを反省材料にして佐藤輝には打って走れる、よりレベルの高い選手を目指してほしいと思うね。