「高校野球埼玉大会・2回戦、川口市立6-0宮代」(15日、川口市営球場) 埼玉大会では、川口市立が初戦を突破した。戦国大名・毛利元就の末裔(まつえい)に当たる毛利元春投手(3年)が先発し、4回無失点と試合を作ると、九回は、昨春のWBC日本…

 「高校野球埼玉大会・2回戦、川口市立6-0宮代」(15日、川口市営球場)

 埼玉大会では、川口市立が初戦を突破した。戦国大名・毛利元就の末裔(まつえい)に当たる毛利元春投手(3年)が先発し、4回無失点と試合を作ると、九回は、昨春のWBC日本代表であるオリックス・宇田川優希投手(25)を兄に持つエースの健投手(3年)が無失点で試合を締めた。

 先発が試合を作り、救援陣が無失点でつなぐと、打線も援護。“3本の矢”が一丸となり川口市立が初戦を突破した。

 先陣を切ったのは毛利だ。初回から走者を背負いながらも、要所を締め4回無失点。「緊張で力みが出ましたが、ゼロで抑えられたことは良かった」とうなずいた。

 祖先は戦国時代に中国地方を統一した毛利元就。父の転勤により自身は埼玉で生まれ育ったが、祖父母宅であり先祖代々が継承する広島の寺には、家系図が残されているという。元就が息子3人に説いたとされる「1人では弱くとも、3人が協力すれば強い敵に対抗できる」という「三矢の訓(みつやのおしえ)」は、その次男・元春が名前の由来となった右腕にも染みついている。入学後から2度の腰椎分離症を乗り越えた苦労人は「絆で甲子園に行けるよう戦いたい」と力を込めた。

 タレントぞろいの投手陣だ。九回にはエースの宇田川が登板。当初は“温存”の予定も、宮代の粘りもあり急きょ準備し、完封リレーを締めくくった。ワインドアップからセットポジションに変更したことで軸足が安定し、春先から球速が6キロアップの最速145キロに。兄のオリックス・優希からは大会前に「最後の夏、頑張って」と連絡をもらったといい「チームを引っ張っていきたい」と意気込んだ。

 3回戦は同じ市内の川口と“川口の戦い”が待ち受ける。同校初の甲子園出場という歴史をつくるべく、一丸で突き進む。

◆宇田川 健(うだがわ・たける)2007年2月22日、17歳。埼玉県越谷市出身。186センチ、85キロ。右投げ右打ち。投手。最速145キロ。宮本小1年時に宮本ジャイアンツで野球を始め、越谷西中では軟式野球部に所属。川口市立では1年夏からベンチ入り。50メートル走6秒2、遠投100メートル。