(15日、第106回全国高校野球選手権石川大会2回戦 松任0―9小松商) この日の松任のベンチ入り選手は10人。ただ桜のころ、松任の野球部員は角谷大和主将(3年)だけだった。 マンツーマンで指導する早川由規監督が選手集めに奔走してくれた。…

 (15日、第106回全国高校野球選手権石川大会2回戦 松任0―9小松商)

 この日の松任のベンチ入り選手は10人。ただ桜のころ、松任の野球部員は角谷大和主将(3年)だけだった。

 マンツーマンで指導する早川由規監督が選手集めに奔走してくれた。バスケットボール部に声をかけ、北陸学院の野球部からも選手5人に加わってもらい、「MATTO」のユニホームでそろえて高校野球最後の大会に臨めた。

 野球の楽しさを教えてくれた父の賢一さんに、その姿を球場で見てもらうことはかなわなかった。角谷選手は中学1年で野球を始め、父はキャッチボールの相手をしてくれた。だが高校2年生のときに亡くなった。この日は朝、自宅で手を合わせ「がんばってくるよ」と伝えて球場に向かった。

 中堅手で先発出場し六回はマウンドに上がった。失点し、駆け寄ってきた仲間に「ごめん」と謝ると、北陸学院から加わった山根悠生捕手(2年)に肩をたたかれ「『ごめん』はなしで」と励まされ、笑顔が戻った。

 試合後は感謝と悔しさがあふれた。この日、3打数無安打。「打てなくて僕の責任。でも集まってくれたみんなに感謝。高校野球がすてきだと、知ってもらえたらうれしいです」(小崎瑶太)