(15日、第106回全国高校野球選手権新潟大会3回戦 新潟明訓2―7新潟産大付) 昨年8月6日、新潟明訓の2年生右腕円山遥介は練習試合に登板していた。五回に右ひじに痛みを感じる。六回に降板する時には投げられないほどになっていた。 診断は右…

 (15日、第106回全国高校野球選手権新潟大会3回戦 新潟明訓2―7新潟産大付)

 昨年8月6日、新潟明訓の2年生右腕円山遥介は練習試合に登板していた。五回に右ひじに痛みを感じる。六回に降板する時には投げられないほどになっていた。

 診断は右ひじの「内側側副靱帯(じんたい)」の損傷。米大リーグの大谷翔平が患ったけがと同じだった。

 昨秋の県大会は背番号「1」を背負ったが、登板はなかった。思い通りの投球ができるようになったのは3年になった今年4月。今春の県大会、島田修監督は大事を取って円山をベンチに入れなかった。だが、夏の「1」は託すと決めていた。

 15日の新潟産大付戦。先発の権平幸太郎(2年)で序盤をしのぎ、円山で締めるのが島田監督のプランだった。だが、権平は二回に1死もとれず、3点を奪われる。円山が早々とマウンドに立った。

 初戦で第5シードの六日町を破って勢いに乗る新潟産大付は止まらない。円山もボールが先行する苦しい投球で4点を奪われ、試合は決まった。

 円山は「ほぼ1年ぶりの公式戦。いろいろな思いがあった」と悔しげに語った。「けがをして、それでも野球を続けてこられたのは……」と話したところで声が詰まる。少し間を空けて絞り出した。「チームメートや支えてくれた人たちのおかげです」(鈴木剛志)