(15日、第106回全国高校野球選手権大阪大会2回戦 浪速6―2山本)  試合が始まる前、山本の浜野智晃(ともき)主将(3年)が「何かあるやつ」とチームメートに呼びかける。三塁手の泉翠怜(すいれ)選手(3年)がすっと手を上げる。 「もし顧…

 (15日、第106回全国高校野球選手権大阪大会2回戦 浪速6―2山本) 

 試合が始まる前、山本の浜野智晃(ともき)主将(3年)が「何かあるやつ」とチームメートに呼びかける。三塁手の泉翠怜(すいれ)選手(3年)がすっと手を上げる。

 「もし顧問の先生2人がけんかを始めたら」

 シャドーボクシングのような動きを繰り返す。1週間前から考えた一発芸だ。ベンチに笑顔が広がる。

 「じゃあ行こか」「おう!」

 試合前に一発芸をしていた先輩が引退し、雰囲気を和ませるために昨夏から始めた。

 小学生のころからお笑いを見て育ち、人を笑わせるのが好きだった。

 最初は緊張したが、「みんなを笑かすことで山本に流れが来ると思った」と話す。みんなが分かる学校の先生たち8人のモノマネを習得し、試合中、伝令や五回終了後のグラウンド整備終わりの際にも披露する。

 8番打者で出場した浪速戦は、同点で迎えた六回2死一、二塁の場面で打席へ。「後ろのバッターが必ず返してくれる」とつなぐことに集中した。球を見極め、4球連続ボールを選び、出塁。満塁に好機を広げると、その後の勝ち越しにつながった。

 「本塁打やファインプレーより、ギャグで和ませてチームを盛り上げたい」と臨んだ試合は、逆転負け。「ギャグは今までで一番ウケました。満足です」と試合後に笑って話したが、目は赤かった。(岡田真実、西晃奈)