(15日、第106回全国高校野球選手権和歌山大会2回戦 田辺6―0市和歌山) 球威は衰えなかった。 138球目、最後の打者を狙い通り、高めの141キロで空振り三振に。田辺のエース寺西邦右(ほうすけ)(3年)は笑みを浮かべた。 「強豪校相手に…

(15日、第106回全国高校野球選手権和歌山大会2回戦 田辺6―0市和歌山)

 球威は衰えなかった。

 138球目、最後の打者を狙い通り、高めの141キロで空振り三振に。田辺のエース寺西邦右(ほうすけ)(3年)は笑みを浮かべた。

 「強豪校相手に完封できてよかったです。最初から全力で飛ばしました」

 昨夏の代表校、市和歌山を6安打に封じた。この日、最速は143キロを計測。春先から2キロ伸びた。

 田辺は今春の選抜大会に21世紀枠で出場した県立の進学校だ。選抜1回戦で、昨秋の明治神宮大会覇者の星稜(石川)に2―4で惜敗したが、寺西の力投で終盤まで互角に戦った。

 「間違いなく、いい財産になった」と田中格監督。だが、甲子園での善戦を「満足」では終わらせなかった。チーム全員が「もう一度甲子園に行きたい」と口にして練習に励んできた。

 大舞台を経験したことで、近大付、興国(いずれも大阪)、尽誠学園(香川)といった強豪と練習試合をしても、物おじしなくなったという。

 寺西ももちろん、その中心にいる。体幹トレーニングに力を入れ、体重は春から2キロ増えて80キロに。普段のキャッチボールから「指先に球をかけること」を意識するようになり、直球、変化球に磨きをかけてきた。

 2001年に選抜の21世紀枠ができて24年。同じ年の夏の甲子園に帰ってこられたのは、01年の宜野座(沖縄)と10年の山形中央の2校だけだ(中止の20年をのぞく)。

 「夏も絶対に出ます。甲子園に出るだけでなく、甲子園で活躍したい」と寺西。難敵を倒し、好スタートを切った。=紀三井寺(稲崎航一)