(15日、第106回全国高校野球選手権滋賀大会2回戦 八幡商10―0長浜北星) 点差をつけられても、長浜北星の中嶋笑寿選手(3年)は笑顔を絶やさなかった。センターの守備位置から口を大きく開けて、「笑顔でな、みんな!」とチームメートに声をか…

 (15日、第106回全国高校野球選手権滋賀大会2回戦 八幡商10―0長浜北星)

 点差をつけられても、長浜北星の中嶋笑寿選手(3年)は笑顔を絶やさなかった。センターの守備位置から口を大きく開けて、「笑顔でな、みんな!」とチームメートに声をかけ続けた。

 名前は「えびす」と読む。「笑う門には福来たる」と同じ意味が込められている。その名前のとおり、中嶋選手は笑顔でチームを盛り上げるムードメーカーだ。

 長浜北星の3年生の選手は3人しかいない。部員不足のため連合チームで試合に出たこともある。3人の仲は良く、「1回もケンカをしたことがない」と中嶋選手。

 この日の相手はシード校の八幡商だった。投手層が厚く、打線も強力だ。長浜北星の北川煌投手(同)がコースに投げ分けようとしていることは、センターからよくわかった。それでも、相手打線は2巡目からきっちり捉えてきた。

 「自分が笑顔でいれば、みんなが笑顔になってくれる」と、笑顔でプレーを続けたが、八幡商の2投手に無安打に抑えられたチームは5回コールドで敗れた。

 試合後、中嶋選手は「(八幡商は)むちゃくちゃ強かった」と苦笑しつつ、「正々堂々と戦ってくれてうれしかった。やり切りました」。

 北川投手は、マウンドからも中嶋選手の声はよく聞こえたといい、「えびさんがいなかったらチームはまとまらなかった。楽しく最後まで野球ができました」と感謝。中村太樹主将(3年)も「チームの雰囲気は最初から最後まで声が出ていてよかったです」と振り返った。

 中嶋選手は今後、進学をめざして勉強に励む。「大学に行っても、笑顔で友だちをたくさんつくりたい」。明るい顔で言った。(仲程雄平)