(15日、第106回全国高校野球選手権京都大会3回戦 京都両洋7―0同志社) 七回裏2死走者なしで打席に入った同志社の主将・清水悠生さん(3年)は、木製のバットを手にしていた。初戦の木津戦では、延長タイブレークの十一回に勝ち越しの二塁打を…

 (15日、第106回全国高校野球選手権京都大会3回戦 京都両洋7―0同志社)

 七回裏2死走者なしで打席に入った同志社の主将・清水悠生さん(3年)は、木製のバットを手にしていた。初戦の木津戦では、延長タイブレークの十一回に勝ち越しの二塁打を放っている。

 「後悔を残したくない。思い切りいこう」

 内角に鋭く食い込む球を繰り出す京都両洋のエースを相手に、同志社の打線は苦しんでいた。監督の助言を受けて、清水さんはここまでの2打席は金属バットで臨んでいたが、快音は出ていなかった。

 回ってきた3度目の打席。終盤を迎えて5点差の劣勢では、最後の打席になるかもしれない――。そう思うと、振り込んできた木のバットに手が伸びた。

 初球を振り抜くと、ゴロの打球は遊撃手の方へ転がった。一塁にヘッドスライディングしたが、及ばなかった。

 打ち取られたが、自分の選択に、悔いはない。

 わかさスタジアム京都は、一度はプレーしたいと3年間願ってきた場所だ。最後の夏に、憧れのグラウンドの雰囲気を楽しんだ。「最高でした」。清水さんはそう言って、笑顔を見せた。(八百板一平)