7月14日の横浜F・マリノス戦で1-4というショッキングな敗戦を喫し、4位に順位を落としてしまった鹿島アントラーズ。6月の代表ウイーク明けは1勝3分2敗と明らかに停滞を強いられており、佐野海舟のマインツ移籍が苦境に拍車をかけている印象だ。…

 7月14日の横浜F・マリノス戦で1-4というショッキングな敗戦を喫し、4位に順位を落としてしまった鹿島アントラーズ。6月の代表ウイーク明けは1勝3分2敗と明らかに停滞を強いられており、佐野海舟のマインツ移籍が苦境に拍車をかけている印象だ。

 その問題解決が今後の重要なテーマになるのは紛れもない事実だが、マリノス戦ではそれ以外の問題点にも直面した。それは相手が長いボールを多用して、鹿島のハイプレスをかいくぐろうとしてきたことだ。

 特に1-1で迎えた後半。マリノスは背後を狙う長いボールを増やし、鹿島守備陣を間延びさせる策を講じてきた。これは後半26分までピッチに立っていた仲間隼斗も感じていたことだという。

「僕らを間延びさせるために相手はそういう動き入れてきたと思う。それに対してこっちが対策できなかったし、後半はチームがバラバラになってしまった。守備も機能していなかったし、攻撃も全体が間延びしてした。後半戦はどのチームも自分たちの戦い方を研究してくるし、そこに惑わされないようにしないといけない。自分たちのプレーをもう1回、見つめ直して取り組まないといけない」と自戒を込めて語ったのだ。

■二の手、三の手を模索

 ポポヴィッチ監督が志向するタテに速いスタイルで今季前半の鹿島が上位に躍進したのは事実だ。仲間、名古新太郎、師岡柊生らアグレッシブさを前面に押し出せる2列目アタッカー陣のハイプレスが奏功し、高い位置で奪って早く攻める形が効果を発揮してきた。

 しかしながら、後半戦になれば相手もそのスタイルを封じるべく、さまざまなアイディアを模索してくる。ボール支配やパスのつなぎにこだわるマリノスがあえて蹴ってきたのも「どんな形でもいいから泥臭く勝つ」という姿勢に他ならない。他のチームも同じような戦い方で挑んでくることも考えられるだけに、鹿島としては二の手、三の手を模索していくことが肝要だろう。

 そういう時こそ、柴崎のキープ力やゲームコントロール力が生きるのではないか。マリノス戦後半の鹿島は仲間が指摘するように攻守ともにバラバラになってしまった印象だが、もっと冷静にボールを落ち着かせて試合を運ぶ時間帯もあってよかったはずだ。

■「ブラさずやりたい」

 柴崎、鈴木優磨植田直通といった数々の修羅場をくぐってきた人材がいるのだから、彼らを中心にもっと声をかけて、メリハリをつけていくことも必要と言っていい。

「海舟がいなくても、みんなすごくいいもの持っているし、チームの統一感を深めていけば、失点もなくなるし、90分間通して鹿島らしいプレーができると思います。こういう点差の結果にはならなかったかなとも思います」と仲間も語気を強めた。やはり今は新たなチームの最適解をいち早く見出すしかないのだ。

「今まで自分たちが積み上げてきたものもあるんで、そこはなるべくブラさずやりたいですね。ただ、変わっていく部分も出てくるので、そこに対してはさらに良いものにしていけるようにチームとしてトライしないといけないと思います」と鈴木優磨は強調する。

 その言葉通り、鹿島はもっと多彩な戦い方のできるチームに成長するべき。常勝軍団復活を果たそうと思うなら、マリノス戦の大敗をいい教訓にするしかない。三竿の復帰というプラス要素も生かしつつ、再び勝ち点を積み上げることに集中すべきだ。

(取材・文:元川悦子)

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