第106回全国高校野球選手権群馬大会は14日は2回戦5試合があった。シードの樹徳は関東学園大付を、太田は伊勢崎商を破ったが、高崎商大付は東農大二に敗退。上毛敷島で予定されていた桐生―桐生市商は雨で中止となり、15日上毛敷島第3試合に順延と…

 第106回全国高校野球選手権群馬大会は14日は2回戦5試合があった。シードの樹徳は関東学園大付を、太田は伊勢崎商を破ったが、高崎商大付は東農大二に敗退。上毛敷島で予定されていた桐生―桐生市商は雨で中止となり、15日上毛敷島第3試合に順延となった。15日は2球場で2回戦5試合が予定されている。

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(14日、第106回全国高校野球選手権群馬大会 樹徳5-3関東学園大付)

 偉大な父の背中を関東学園大付の馬場大斗(3年)は追い続けてきた。

 父満裕さん(51)は、社会人野球・いすゞ自動車の元投手。18歳から11年間、エースナンバー「18」を背負い続けた。劇的な戦いがある。2002年の都市対抗野球。同シーズン限りでの休部が決まっていたいすゞは、最後の大会で悲願の優勝を果たした。その胴上げ投手が満裕さんだ。父に近づきたくて、同じ野球の道を歩き始めた。

 決して大柄ではない馬場は、自身をこう語る。「強いフィジカルもパワーもない。努力しかないんです」。それは父の教えでもあった。誰よりもバットを振り、ノックを受け、走り込み、誰よりも多くの汗をグラウンドに染み込ませてきた。羽鳥達郎監督は「うちの選手は全員、こう言いますよ。『馬場だ』と。馬場以上に努力したヤツはいません」と語る。

 今春の3回戦。関東学園大付は延長の末、6―7で明和県央に敗れた。その試合で、三塁手の馬場は邪飛を落球した。「自分が捕っていれば、流れが変わっていたんじゃないか」。悔しさをバネにさらに努力を積み、この夏に挑んだ。

 三回、馬場の好守備にスタンドがわいた。2死三塁で、三塁ファウルグラウンドに難しい打球が上がった。グラブからこぼれそうになったが、フェンス際でつかんだ。目の前の三塁ベンチから羽鳥監督が飛び出し、雄たけびを上げて馬場とハイタッチを交わした。「たかがファウルフライかもしれません。でも、あのプレーこそ、うちの努力の結晶なんです」

 関東学園大付は終盤に追い上げた。馬場の内野ゴロの間に1点を加えるなど、2点差まで詰め寄った。だが、今大会第3シードの樹徳の壁は破れなかった。

 涙を流し続ける馬場に、試合前の父の言葉を伝えた。「アイツがどれだけ努力してきたか、私がよく分かっています」

 つばの裏に「努力」と書かれた帽子を握りしめ、馬場は泣き崩れた。(抜井規泰)

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(14日、第106回全国高校野球選手権群馬大会 高崎商大付1-4東農大二)

 シードの高崎商大付は初戦で敗れたが、そんな中で気を吐いたのは3年の朝比奈琉成だ。六回表に走者を置いて打席に立つと、内角高めの直球を見事にはじき返し、適時二塁打。実戦を意識したという打撃練習が実り、得点に結びつけた。

 2年生が多く活躍するチーム。「最上級生として2年生を引っ張っていけるように、自分が打ってチームに貢献したい」と臨んだ試合だった。八回にも二塁打を放って好機を演出し、強みである後半の粘りを見せたが、及ばなかった。

 試合後、朝比奈は「チームがまとまらなくて大変な時期もあったが、野球を通して『仲間と協力すること』を学べた。悔いはあるけど、今まで楽しかった」。涙をにじませながら、後輩にバトンをつないだ。(中沢絢乃)