「大相撲名古屋場所・初日」(14日、ドルフィンズアリーナ) 2場所連続休場明けの横綱照ノ富士(32)=伊勢ケ浜=は新小結平戸海(境川)を寄り切り、白星発進を決めた。3大関がそろって敗れる中、上位総崩れを阻止。綱の威厳を示し、復活Vへの一歩…

 「大相撲名古屋場所・初日」(14日、ドルフィンズアリーナ)

 2場所連続休場明けの横綱照ノ富士(32)=伊勢ケ浜=は新小結平戸海(境川)を寄り切り、白星発進を決めた。3大関がそろって敗れる中、上位総崩れを阻止。綱の威厳を示し、復活Vへの一歩を踏み出した。夏場所で初優勝した新関脇大の里(二所ノ関)は御嶽海(出羽海)に完敗。大関陣はかど番の貴景勝(常盤山)が明生(立浪)に、豊昇龍(立浪)は熱海富士(伊勢ケ浜)に、琴桜(佐渡ケ嶽)は小結大栄翔(追手風)に、それぞれ苦杯をなめた。

 横綱が“最後のとりで”としての務めを果たした。3大関が相次いで敗れて迎えた結び。照ノ富士は波乱の流れにのみ込まれなかった。平戸海に深く右を差されながら慌てずに我慢。じわじわと圧力をかけて起こすと、最後は肩越しに左上手を引いて寄り切った。

 腰や膝、脇腹などのケガで2場所連続途中休場からの復帰戦。「良くないんじゃないですか。しっかり立ち合いも当たれていないし、まだ足腰がバタついている。相撲をとる稽古ができていないのが出ている」と自己評価は辛い。ただ、不安があっても負けられなかった。夏場所では昭和以降初となる初日の横綱大関総崩れの醜態を阻止できなかっただけに、「初日だし、今日はちゃんと締めないと、と思っていた」とプライドをにじませた。

 まずは鬼門をクリアした。直近2場所はいずれも黒星発進で、休場に追い込まれた。幕内後半戦の九重審判長(元大関千代大海)は「上体が前後左右に暴れてヒヤヒヤ」と指摘しつつ「不安は残るけど、大きな白星。初日を乗り越えた」と価値を強調した。

 過去9度の優勝は、いずれも名古屋以外で開催された場所。満身創痍(そうい)の横綱は「名古屋で応援してくれている人たちに身近でそういう(優勝した)姿を見せたい思いはある」とモチベーションを明かした。2場所続けて“ちょんまげV”を許して迎えた真夏の戦い。復活V10で番付の重みを取り戻す。