「中日2-6阪神」(14日、バンテリンドーム) 舞い上がった打球が左中間へ伸びる。前進守備の外野が追いつけない。どよめきが徐々に大歓声となっていく。阪神・植田海内野手が魅せた。プロ10年目で初の三塁打だ。 九回から代走で出場し、延長十回に…

 「中日2-6阪神」(14日、バンテリンドーム)

 舞い上がった打球が左中間へ伸びる。前進守備の外野が追いつけない。どよめきが徐々に大歓声となっていく。阪神・植田海内野手が魅せた。プロ10年目で初の三塁打だ。

 九回から代走で出場し、延長十回に原口の適時打で1点を勝ち越した後の2死満塁で左打席に立った。

 今季は出場43試合のうち36試合が代走で、先発した6月1日・ロッテ戦以来の43日ぶりの打席。良い意味で開き直っていた。「原口さんがタイムリーを打って勝ち越していたので、ちょっと気楽に。『打てんくてもしゃあないわ』と思って入りました」。岩崎に対して2球連続で直球を空振り。3球目の低めのフォークを見送った後、真ん中に入った151キロを打ち返した。

 走者一掃の3点三塁打で2年ぶりの打点を記録。この試合まで通算7打点だった男が、一振りで20年のシーズン自己最多打点に並んだ。

 三塁ベンチは大盛り上がり。藤本三塁ベースコーチにヘルメットのつばをたたかれると、植田ははにかんでガッツポーズを見せた。「外野がめちゃくちゃ前やったんで。なんで、ラッキーです」と照れ笑い。それでも岡田監督も延長十回に1点を奪われたこともあり、「そら、植田のが大きかったよ」とたたえる一打だった。

 4月に28歳となった足のスペシャリストは、武器の俊足でも魅せた。打球はフェンスまで到達しなかったが三塁まで到達した。

 快足を維持できている理由の一つは、プロ入り時と大きく変わらない体重にある。トレーニングをしながらも、俊足に影響が出ることを懸念して増量していない。その結果、「昔と変化は感じないですよ」。身軽な体でスピードをキープし続けている。

 チームの連敗は2でストップ。「みんな勝ちたいという気持ちがめちゃくちゃあったので良かったですね」。いつもとは違う形でも、勝利に貢献できたことを何よりも喜んだ。

 ◆今季4度目の1イニング5得点以上 1イニング5得点以上は今季4度目で6得点した5月11日・DeNA戦三回以来。なお、今季最多は4月20日・中日戦二回の7得点。