「中日2-6阪神」(14日、バンテリンドーム) “代打の神様”がまた決めた。阪神・原口文仁内野手(32)が延長十回、代打で勝ち越しの左前タイムリー。同一カード3連敗を阻止する殊勲打となった。7月は3本目の代打安打で、すべて勝利に結び付いて…

 「中日2-6阪神」(14日、バンテリンドーム)

 “代打の神様”がまた決めた。阪神・原口文仁内野手(32)が延長十回、代打で勝ち越しの左前タイムリー。同一カード3連敗を阻止する殊勲打となった。7月は3本目の代打安打で、すべて勝利に結び付いている。きょう15日からは東京ドームで巨人と3連戦。1・5差で追う宿敵をたたいて首位再浮上を狙う。

 重苦しい空気を一打で振り払った。代打・原口のコールに虎党が沸く。決めてくれ-そんな願いを一身に背負い、また応えてみせた。

 「いい場面で本当に1本打てて良かった」

 1-1で迎えた延長十回。前川が口火打を放つと、バントを試みた梅野も相手の悪送球で出塁。無死一、二塁となったが、小幡はバントを失敗。少し嫌な雰囲気が漂った1死一、二塁だった。「小幡はいつも頑張っているし、何とかカバーしてあげたい」。後輩への思いも胸に、「バッテリー中心に粘り強く守っていたので、このチャンスで本当に打つしかない」と奮い立った。

 フルカウントからの7球目、橋本の149キロ高め直球に振り負けなかった。「いい詰まり方をしたので打った瞬間落ちるかなと」。打球は左前に落ちる。二走・島田が生還。大きな1点に、「本当に難しい打球だったけど、ナイスランでした」と仲間をたたえることも忘れなかった。

 ここから打線に火がつき一挙5得点。「その後(植田)海も(佐藤)輝も打ってくれた。重苦しい雰囲気を打ち破れたので、いいヒットになった」。2連敗中だったチームに、明るい光がさした。今季はここまで“代打の神様”となっている。代打では30打数9安打3打点で打率・300。特に7月は4打数3安打2打点、打率・750と、放った安打全てで勝利へ導いている。

 一打で決めなければいけない重圧を背負うのが代打の使命。「走者がいる場面で回ってくるのはいつも必死のパッチでいきます」。ヒーローインタビューではそう言った。ただ、打席に入る前は「意外と自分のやりたいことに集中している」と話す。「いろいろ考えすぎるとあっという間に3球三振で終わってしまったりする」。1打席しかないからこそ、熱いハートの中にも冷静さを大切にしている。

 結果を出し続けていても「状態が良くてもヒットが出ない時もあるし。巡り合わせとか運とかいろいろな要素がある」と慢心はないが、「結果がすべてなので、また次につながる」ともうなずいた。“必死のパッチ”の一打で大きな勝利をもたらし、首位・巨人と1・5ゲーム差で直接対決を迎える。「大事な試合というのはみんな分かっていた。一つ勝って、勝つ勝たないはすごく大きいと思うので、東京行ってみんなでいい試合をしたい」。頼もしい男が、首位浮上に導いていく。

 ◆今季の代打打率3割! 原口の今季通算代打成績は起用回数33回で30打数9安打3打点、打率・300に上昇。今月に限れば2本のタイムリーをマークしている。