(14日、第106回全国高校野球選手権北北海道大会準々決勝 白樺学園8-0別海) 七回にコールドの点差をつけられたその裏。1死一塁で打席に入った別海の中道航太郎主将(3年)は、この1年間をかみしめていた。 「お世話になった方々の顔が思い浮か…

(14日、第106回全国高校野球選手権北北海道大会準々決勝 白樺学園8-0別海)

 七回にコールドの点差をつけられたその裏。1死一塁で打席に入った別海の中道航太郎主将(3年)は、この1年間をかみしめていた。

 「お世話になった方々の顔が思い浮かび、絶対打ってやろうの気持ちしかなかった」。外のスライダーに反応し、左前に運んだ。最後の打席で主将の意地を見せた。

 昨秋の全道大会、2回戦で九回逆転サヨナラ2ラン。準々決勝は延長で走者一掃の二塁打と、主将の勝負強い打撃が快進撃の原動力だった。そしてつかんだ選抜21世紀枠での甲子園。敗れはしたが、「夢のような体験だった」と振り返る。

 「もう一度戻りましょう」。約1300キロの距離を越えて甲子園につめかけた大応援団に誓った約束。だが初戦の相手は甲子園3度出場の白樺学園。夏の舞台を勝ち上がるのは簡単ではなかった。

 五回、粘り強く投げていたエースがつかまった。「まだ大丈夫」「1点ずつかえそう」。捕手として主将として笑顔で支えたが、最後まで盛り返せなかった。

 試合後、主将は目をはらしながら、「選抜を経験したことで最後まで堂々とあきらめないプレーはできた」と言葉に力を込めた。そして「ここが出発点。甲子園が奇跡ではなく必然になるようなチームになってほしい」と託した。

 球場の外では応援団が拍手で出迎えていた。「最高の1年を体験できた。選手をほめてやってほしい」と島影隆啓監督。家族や地域の人たちに囲まれると、涙があふれ出した。(古源盛一)