(14日、第106回全国高校野球選手権千葉大会2回戦、千葉日大一2―7市原中央) 一回から2点を先制され、劣勢の中、千葉日大一に反撃の好機が訪れた。 6点を追う七回表2死二、三塁。3番打者の田原蓮輝(3年)に打順が回ってきた。「お前しかい…

 (14日、第106回全国高校野球選手権千葉大会2回戦、千葉日大一2―7市原中央)

 一回から2点を先制され、劣勢の中、千葉日大一に反撃の好機が訪れた。

 6点を追う七回表2死二、三塁。3番打者の田原蓮輝(3年)に打順が回ってきた。「お前しかいない」。仲間から背中を押され、打席に入った。

 「結果で示す」。覚悟を決め、二遊間を破る意識で臨んだ。3球目、低めの落ちる変化球に少し詰まった。「やばい」。内野を抜けるほどの勢いはない。田原は脇目も振らず一塁に全力疾走。捕球した二塁手の送球に、判定はセーフだった。その間に走者2人が生還した。思い描いたような打球ではなかったが、値千金の一打になった。

 思えば、この1年は満足に野球ができなかった。1年の夏からベンチ入りし、昨夏はレギュラーに。しかし、新チームになった昨秋の県大会で左足の靱帯(じんたい)を断裂。半年して復帰したが、1桁の背番号をもらった春の県大会では前日に左足の太ももを肉離れした。「1年中けがばかり。苦しかった」

 何とか治し、最後の夏は背番号「19」。「もらえただけでうれしい。仲間の思いを背負って最後まで戦う」

 しかし、2回戦で負け、2試合で夏が終わった。

 きつい練習やけがで苦しんだ日々を、仲間と励まし合い乗り越えたことが頭に浮かんだ。「本当に楽しかった。次のステージに生かしたい」

 卒業後、米国で野球をしようと考えている。「インターナショナルスクールに通っていた。もともと英語が大好きだった。野球もできて、英語力もつけられるので行きたい」=県(杉江隼)