(14日、全国高校野球選手権高知大会2回戦、伊野商1―5高知) 伊野商のエース、前田光碧暁(みきあ)投手(3年)がアクシデントに見舞われた。 一回の立ち上がりで、二番打者の鋭い打球を右足すねに受けた。試合を中断しての治療後、「大丈夫です」…

 (14日、全国高校野球選手権高知大会2回戦、伊野商1―5高知)

 伊野商のエース、前田光碧暁(みきあ)投手(3年)がアクシデントに見舞われた。

 一回の立ち上がりで、二番打者の鋭い打球を右足すねに受けた。試合を中断しての治療後、「大丈夫です」とマウンドに戻った。観客からは「ナイスファイト」と声が飛んだ。

 チェンジアップを織り交ぜた緩急をつけた投球。高知打線を相手に、四回まで無失点で切り抜けた。

 伊野商は二回、大会ナンバー1の呼び声が高い高知の平悠真投手(3年)に連続二塁打を浴びせて先制した。ベンチは勢いづいた。「このまま行ける」。だが、前田投手の足の痛みは次第に増した。

 五回、右足をかばいながら上がったマウンドで、再び右足すねに鋭い打球を受けた。

 「打球がどこに行ったか一瞬、分からなくなった」。目の前に転がるボールを拾い上げて一塁に送球したが、守備のほころびで同点に追いつかれた。

 試合を中断して右足の具合を確認後、マウンドに戻ったものの連打を浴びた。六回まで投げ切ったところで、継投に託した。

 前田投手は1年秋から背番号1。今春からは足を上下させる「二段モーション」を取り入れるなど、研究しながら夏の大会に向けて練習を重ねてきた。

 試合後、涙で目を赤く腫らした。「勝つ気でいたので悔しい。もっと投げたかった」と話した。(蜷川大介)