(14日、第106回全国高校野球選手権愛知大会3回戦 豊川7―1愛知啓成) 愛知啓成のエース山田広也選手(3年)は相手打線の攻略策をインコースと見定めていた。豊川の強打者、モイセエフ・ニキータ選手(3年)らを分析して結論づけた。打ち取るイ…

 (14日、第106回全国高校野球選手権愛知大会3回戦 豊川7―1愛知啓成)

 愛知啓成のエース山田広也選手(3年)は相手打線の攻略策をインコースと見定めていた。豊川の強打者、モイセエフ・ニキータ選手(3年)らを分析して結論づけた。打ち取るイメージもできている。

 この日、2点差をつけられていた三回途中から登板。モイセエフ選手との真っ向勝負は、六回無死一、二塁。インコースに直球を投げ込んだ。だが打球は頭上を越えた。振り向くと、深く守っていた中堅手が捕球し、アウトに打ち取った。センターへ右手を高く上げた。「ナイスキャッチ」

 もともと投手でも、野球特待生でもない。高校入学後に投手に転向した。始めは周囲のレベルの高さに圧倒された。「何が何でもメンバーに入りたい」。一人で黙々と練習を続け、エースの座をつかんだ。

 この日、山田選手は六回途中に降板して役目を終えた。試合後の整列で、モイセエフ選手に声をかけた。「お前すげえよ。絶対甲子園行ってくれよ」。「ナイスボール。絶対甲子園行くから」

 三塁側ベンチ前で、相手の校歌斉唱を見ていると、涙があふれてきた。野球に打ち込んだ高校生活は「最高に楽しかったです」。進学後も野球は続けたいと思う。(渡辺杏果)