(14日、第106回全国高校野球選手権埼玉大会2回戦 川越東19―0浦和東) 六回、浦和東の主将でエースの岡田大和(3年)は、この回先頭で打席に向かう秋山翔汰(3年)に声をかけた。点差は19点。「最後だから、三つ全力で振って後輩の打席に回そ…

(14日、第106回全国高校野球選手権埼玉大会2回戦 川越東19―0浦和東)

 六回、浦和東の主将でエースの岡田大和(3年)は、この回先頭で打席に向かう秋山翔汰(3年)に声をかけた。点差は19点。「最後だから、三つ全力で振って後輩の打席に回そうな」

 岡田にとって、秋山は唯一の同学年の部員。秋山は岡田の左肩をポンポンとたたいて応えた。

 入部当時、1年生は2人、2年生は4人しかいなかった。16人いた3年生が引退すると、単独でチームが成立しなくなり、弓道部などから助っ人を呼んだこともあった。それだけに、後輩が入部し、助っ人に頼らず野球部員だけで最後の夏に出場できたことがうれしかった。「入部してくれた後輩たちには感謝しかない」

 結局この回、秋山は遊ゴロ、次打者の岡田は2球ファールした後の3球目を空振り三振。得点を奪えなかったが、最後までボールに食らいついた。

 プライベートで遊ぶことはないという2人。この先、キャッチボールをすることもないかもしれない。それでも、「一緒に野球ができてよかった」と互いに振り返り、明るい表情で球場を後にした。(宮島昌英)