(14日、第106回全国高校野球選手権三重大会1回戦 木本3―5久居) 先頭打者の打球がふわりと上がった。2―3で迎えた八回裏、木本の広田侑功(たすく)投手(3年)がマウンドで「打ち取った」と思った次の瞬間、飛球は二塁手の後方にぽとりと落ち…

(14日、第106回全国高校野球選手権三重大会1回戦 木本3―5久居)

 先頭打者の打球がふわりと上がった。2―3で迎えた八回裏、木本の広田侑功(たすく)投手(3年)がマウンドで「打ち取った」と思った次の瞬間、飛球は二塁手の後方にぽとりと落ち、二塁打に。後続に2本の適時打を浴び、2点を追加された。

 二塁打を打たれた相手は「今大会ナンバー1遊撃手」と言われる好打者、久居の紀平大知(たいち)主将(3年)。広田投手は「勢いづかせたくなかったが、塁に出してしまい、気持ちを切り替えられなかった」と悔やんだ。

 小林祐哉監督に「六回から継投してほしい」と言われていたが、出番は四回に回ってきた。この回は1失点したが、五回に紀平主将を打ち取ってから波に乗り、七回まで相手を抑えてきた。いつもより体は軽く、最速139キロだった速球は、この日は142キロと表示された。

 味方は3点を追う九回、無死満塁から1点を返したが、反撃はここまで。相手を上回る10安打を放っていただけに、「八回さえ抑えていれば、延長に持ち込めた」と広田投手。一、四、九回の好機で併殺に倒れたことも痛かった。

 木本は来春、紀南と統合し、新校名が「熊野青藍(せいらん)」になる。ただ、両校舎は残り、いまの木本の野球部も当面は存続する見込みだ。広田投手は「昨夏のベスト8には届かなかったが、力は出し尽くせた。後輩には、上級生と下級生が助け合う木本の伝統を引き継いでほしい」と話した。(本井宏人)