(14日、第106回全国高校野球選手権埼玉大会2回戦 山村学園14―0越谷南) 越谷南の主将で捕手山根快斗(3年)は、幼稚園の年中から続けてきた野球を、高校ではやらないと決めていた。中学の部活で、人間関係やレベルの高い選手との力の差に悩んで…

(14日、第106回全国高校野球選手権埼玉大会2回戦 山村学園14―0越谷南)

 越谷南の主将で捕手山根快斗(3年)は、幼稚園の年中から続けてきた野球を、高校ではやらないと決めていた。中学の部活で、人間関係やレベルの高い選手との力の差に悩んでいたからだ。

 新しくバドミントンを始めようと思っていた入学前の春休み、小学校の同級生で、今大会でバッテリーを組む杉浦涼介(3年)から、野球部の練習会に誘われた。野球へのモチベーションを失っていた山根だったが、杉浦の誘いということで渋々参加した。

 永山大夢監督は、練習会で楽しそうにボールを投げる山根の姿を覚えている。「本当は野球好きなんだろうな」

 永山監督は1年9組の教室までスカウトしに行った。「野球やれって。絶対楽しいから」

 監督や上級生の誘いから結局、山根は入部。真剣に向き合う監督のもとで、楽しく野球ができたと振り返る。

 最後の夏、試合には五回コールドで敗れた。涙はあったが、山根はすっきりとした表情をしていた。

 「最後まで楽しく野球をやらせてもらえた。主将として自分の意思を伝えられるようになり、人間としても成長できた。野球を続けてきてよかったです」(宮島昌英)