(14日、第106回全国高校野球選手権大阪大会2回戦 堺東0―5三国丘) 九回2死一塁、5点をリードされている。 堺東の4番、水野遥仁(はると)主将(3年)は打席に立つと、ニコッと白い歯を見せた。 雨が頰に当たる。暑さも寒さも感じない。 …

 (14日、第106回全国高校野球選手権大阪大会2回戦 堺東0―5三国丘)

 九回2死一塁、5点をリードされている。

 堺東の4番、水野遥仁(はると)主将(3年)は打席に立つと、ニコッと白い歯を見せた。

 雨が頰に当たる。暑さも寒さも感じない。

 劣勢でもベンチからは大声援。何より仲間が2死から安打を放ち、つないでくれた。今ここに立てていることがうれしかった。

 昨秋のことだ。エラーしたり、打てなかったりすると、チーム内では途端に声が出なくなった。鈴木昭広監督と「楽しい野球ができていないんちゃうか」と話し合った。

 仲間たちに「ピンチや不調のときこそ声を出そう」と伝えた。自ら率先して声を出し、動くことで、次第にチームは変わった。

 14日の初戦。攻撃では3安打に抑えられ、守りでは5失策。苦しい場面が多かった。でもグラウンドの選手たちも、ベンチにいる選手たちも、最後まで腹から声が出ていた。

 九回、水野主将の放った打球は、快音を響かせて右翼へ。だが、相手のグラブに吸い込まれた。

 結果には悔しさしかない。

 でも、ここまで仲間と野球を続けてきてよかったってことは、胸を張って言える。(西晃奈)