第106回全国高校野球選手権群馬大会は13日は2回戦6試合があった。今春選抜王者の健大高崎と昨夏群馬大会優勝の前橋商はともにコールド発進。高崎商はシードの渋川青翠にサヨナラ勝ちした。健大高崎の下重賢慎(2年)は10連続奪三振を達成し、大会…

 第106回全国高校野球選手権群馬大会は13日は2回戦6試合があった。今春選抜王者の健大高崎と昨夏群馬大会優勝の前橋商はともにコールド発進。高崎商はシードの渋川青翠にサヨナラ勝ちした。健大高崎の下重賢慎(2年)は10連続奪三振を達成し、大会記録(9連続奪三振)を更新した。14日も2回戦6試合が予定されている。

(13日、第106回全国高校野球選手権群馬大会2回戦 前橋商7-0市太田)

 市太田の木村将彪(しょうご)と前橋商の庭野涼介(ともに3年)は、かつてチームメートだった。「群馬ダイヤモンドペガサスjr.」。独立リーグ「群馬ダイヤモンドペガサス」が協力する、軟式野球の中学選抜チームだ。それから3年。2人はともにチームの中核となり、ともに「背番号8」を背負い、最後の夏に臨んだ。

 2人は、大会前から一言も交わさなかったという。だが、試合直前、全く同じ言葉を口にしていた。「同じセンターとして、負けたくない」

 身長163センチの木村は、全出場選手の中でも目立って小柄だ。しかし両足を肩幅の2倍ほどに開く大きなスタンスからフルスイングし、遠くへ飛ばす打撃フォームを練り上げ、4番を託されていた。「チャンスで打ちたい」と語っていた。

 しかし、第2シード前橋商の総合力は想像以上だった。一回に打者一巡で5点を奪われると、流れを呼び込むことができない。7点を追う七回。2死一、二塁で木村に回ったが、左飛に倒れ、コールドで散った。

 整列。木村と庭野が向き合った。互いの手を握り、この夏初めて言葉を交わした。

 「頼むぞ」。かなわなかった甲子園の夢を盟友に託した。(抜井規泰)

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(13日、全国高校野球選手権群馬大会2回戦、健大高崎18―1藤岡北)

 藤岡北の関健斗(3年)の体に異変が起きたのは4月下旬。帰宅後に激しい腹痛で動けなくなり、病院へ救急搬送された。国の指定難病「潰瘍(かいよう)性大腸炎」だった。

 入院している間、チームメートが動画で応援メッセージを送ってくれた。「治療とかいろいろ大変だけど、頑張れ!」。動画を何度も見返し、「みんなと野球がしたい」と病室で涙した。

 「夏には間に合わないかも」。そんな思いもよぎったが、投薬を続け5月下旬に復帰。チームは今月6日の開幕試合で12年ぶりに夏の1勝を果たし、関も3安打6打点と貢献した。

 この日は選抜王者の健大高崎に圧倒されたが、点を奪われても「気にしないで投げろ」と笑顔で投手をリードした。試合後、わずかに涙をにじませた。「今日まで野球をやりきることができたのはチームの仲間や家族のみんなのおかげ。『ありがとう』と伝えたい」(中沢絢乃)

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 13日の高校野球群馬大会で、シードの渋川青翠が高崎商にサヨナラ負け。

 渋川青翠は一回、守備の乱れから1点を先取されたが、五回に星野夢生(3年)の内野安打と敵失で同点とした。1点を争う緊迫した展開で迎えた九回1死二塁、代打で登場した高崎商の主将・古里羽琉(3年)に適時打を浴びて敗れた。

 今大会注目投手の渋川青翠・萩原琉偉(3年)は得点圏に走者を背負いながらも、伸びのある130キロ台中盤の速球と切れのある変化球で抑えたが、最後に力尽きた。試合後、「ピンチでみんなから『強気で行け』『お前に任せた』と声をかけてもらった。心を一つにして全力で戦えた。最高の仲間です」と、笑顔で、時に涙をこらえながら話した。