(13日、第106回全国高校野球選手権千葉大会2回戦、国分4―8千葉英和) 国分の三塁コーチ・西山陽哉(3年)は最終回の攻撃はベンチから見守った。最後の打者が二飛となり、打席に立つことなく夏が終わった。 6月下旬のミーティングで監督から背…

 (13日、第106回全国高校野球選手権千葉大会2回戦、国分4―8千葉英和)

 国分の三塁コーチ・西山陽哉(3年)は最終回の攻撃はベンチから見守った。最後の打者が二飛となり、打席に立つことなく夏が終わった。

 6月下旬のミーティングで監督から背番号「9」を言い渡された。中学から始めた野球で1桁の番号は初めてだった。

 母・尚子さんは不思議に思ったが、深くは聞かなかった。「話すと長くなるからやめとく」と言い、あまり自分のことは話したがらない。これまでも「今日は早く行くから」とだけ伝えて早朝に家を出たり、近くに住む部員が帰宅してもその1時間後に帰ったりすることもあった。

 でも、理由は分かる。昨冬、尚子さんは息子の部屋にマネジャーからもらった誕生日プレゼントのお菓子を見つけた。袋にサインペンでメッセージが書かれていた。

 「いつも朝練、頑張っているの知っているよ」

 放課後の練習にも励んでいるようだ。練習が終わるのは午後7時ごろだが、帰宅が午後9~10時になることもある。昔は「まだやっているの」とせっついたが、今は「好きなだけやってきなさい」と伝えている。

 打撃がうまいとはいえない西山は誰よりもバットを振った。部員たちが部室に帰ってからも、土日の練習前も。スイングスピードは3割上がり、130キロほどになった。最後の夏に1桁の背番号をもらえたのは、監督が「誰よりも努力したから」と思ってのことだった。

 打席に立てなかった悔しさはある。それでも「これまで続けてきたことは、自分の自信にして生きていきたい」=大谷津(マハール有仁州)