(13日、第106回全国高校野球選手権千葉大会2回戦、長生1―5市松戸) 59年ぶりの春8強入りでBシードの座を勝ち取った長生に市松戸が挑んだ。両エースとも左腕。紙一重の展開が序盤から続いた。 「今までで一番球が走っている」。長生のエース…

 (13日、第106回全国高校野球選手権千葉大会2回戦、長生1―5市松戸)

 59年ぶりの春8強入りでBシードの座を勝ち取った長生に市松戸が挑んだ。両エースとも左腕。紙一重の展開が序盤から続いた。

 「今までで一番球が走っている」。長生のエース田村健太(3年)は3度目の夏の舞台に確かな手応えを感じていた。昨年も、2年前も、夏の大会の最後の試合で先発したのは田村だった。

 「自分が先輩の代を終わらせてしまった。自分の代くらいは良い結果を残して、先輩たちにも、ここまでできるようになったと、恩返ししたい」

 球は走る。一方で制球は定まらなかった。序盤から球数が増える中、守備陣が田村を救った。

 一回裏、先頭打者に四球を許すも、二遊間を守る2年生コンビが併殺をとってくれ、3人で切った。二回裏には2死二塁のピンチに、主将の左翼手・中山琉生(3年)が、左前安打をうまくさばき、本塁を狙う二塁走者の生還を好返球で阻んだ。その後も三回、四回、五回に得点圏に走者を置いたが好守に助けられた。「みんながプレーで助けてくれた」

 しかし、ここまで粘り強く戦ってきた代償もあった。六回裏の終了時、右足がつった。六回までで104球を投げていた。

 その後、痛みをこらえ、気持ちで戦った。両校ともスコアボードに「0」が並んでいった。

 八回表に試合が動いた。2死後、田村が中前安打を放ち、後続も続いた。田村が生還し、自らの足で1点をもぎ取る。

 その裏にとうとう限界がきた。足がつって、2度タイムをとっても、踏ん張れなかった。5四球などで4失点し、マウンドを降りた。「最後はもう思うように投げれなかった」

 整列後、市松戸の投手清水隆太(3年)が田村の足を気にして、声をかけてくれた。田村は「ナイスピッチ。頑張って」と返した。「1点とるのが精いっぱいだった。(清水は)最後まで強く投げていてすごい。勝ち進んでほしい」。思いを託した。=県(杉江隼)