今年の函館開催が早くもラストウィークを迎える。フィナーレを飾るのは伝統の重賞、GIII函館記念(7月14日/函館・芝2000m)だ。 昨年のレースでは、1番人気のローシャムパークが人気に応えて快勝。その後、GIIオールカマー(中山・芝22…

 今年の函館開催が早くもラストウィークを迎える。フィナーレを飾るのは伝統の重賞、GIII函館記念(7月14日/函館・芝2000m)だ。

 昨年のレースでは、1番人気のローシャムパークが人気に応えて快勝。その後、GIIオールカマー(中山・芝2200m)を制して、この春にはGI大阪杯(阪神・芝2000m)で2着と奮闘している。

 だが、過去10年の結果を振り返ってみると、同馬を含めて1番人気が勝ったのは、2回だけ。伏兵の台頭が目立ち、波乱に満ちた一戦と言える。研究ニュースの藤田浩貴記者もこう語る。

「毎年、ひと筋縄ではいかない函館記念。最終週の荒れた馬場コンディションに加え、ハンデ戦という要素が難解なレースにしています」

 過去の配当を見ても、3連単はすべて万馬券。2020年の300万円超えをはじめ、10万円を超える高額配当が6回も飛び出している。そうした状況を踏まえて、藤田記者は今年のレースで人気を集めそうな面々にも疑問の目を向ける。

「チャックネイト(せん6歳)は、トップハンデ&距離不足。また、折り合いに不安があるホウオウビスケッツ(牡4歳)は、前走のオープン特別・巴賞(6月30日/函館・芝1800m)で逃げる競馬をしたあとゆえ、1ハロンの距離延長で抑えが利くかどうかがカギになります。データ的にも、巴賞の勝ち馬は不振。過信は禁物でしょう」

 実際、過去10年でトップハンデ馬は2着が2回あるのみ。前走・巴賞の勝ち馬も8頭が出走して、すべて馬券圏内に沈んでいる。

 では、狙い目となるのはどういった馬なのか。藤田記者は、2頭の穴馬候補をピックアップした。

「まず注目したいのが、マイネルクリソーラ(牡5歳)です。

 GII中山記念(5着。2月25日/中山・芝1800m)を最後に、同馬を管理していた中野栄治調教師が勇退し、手塚貴久厩舎に転厩。その初戦となった前走のGIII新潟大賞典(5月5日/新潟・芝2000m)は、7着に終わりました。課題のゲートは決めたものの、勢いをつけたい4角で前の馬の動きに影響を受けて、踏み込みが遅れたのが致命的でした。ただ、その不利を考えれば、及第点の内容。それほど、悲観することはないと思っています。

 前走後は放牧に出て、1週前の追い切りは休養明けとあってやや物足りない動きでしたが、そこでビシッと追われたことで、今週の追い切りでは同じく函館記念に出走するアケルナルスター(牡5歳)を相手に手応え優勢で同入。動きの素軽さが格段にアップしました。転厩2走目で陣営も馬の特徴を把握し、上昇気配にあります」


函館記念での一発が期待されるマイネルクリソーラ

 photo by Eiichi Yamane/AFLO

 函館競馬場では過去に2戦して、1勝、2着1回と舞台相性もいい。

「昨年の函館、さらには札幌の走りからして、洋芝適性はかなり高いです。スクリーンヒーロー産駒らしく、古馬になってからの地力強化もうかがえます。ハンデも手ごろな56kg。ここでも十分に勝負になると思います。

 藤田記者が推奨するもう1頭は、サンストックトン(牡5歳)だ。

「前走・巴賞組では、好走した馬よりも負けた馬のほうが函館記念で好走する傾向にあり、同馬はデータ的にも合致します。巴賞では完全な前残りの展開のなか、大外を回ってメンバー最速タイの上がりを駆使して6着まで追い上げました。いかにも次は狙えそうな負け方でした。

 加えて、具合のよさも強調材料。一度使ったことで、馬体の張りや毛ヅヤは格段に良化しています」

 同馬も北海道でのレースは好相性。前走を除けば、4戦2勝、2着2回とパーフェクト連対だ。

「デビューの地が札幌で、毎年のように北海道では結果を出しています。(走る)季節的にも、コース的でも、ここはベストの条件と言えるでしょう。

 ハンデも前走から2kg減の55kgというのは魅力。極端に馬場が悪化すると割引ですが、週末は晴れ予報で良馬場の見込みです。立ち回りひとつで、上位争いは可能と踏んでいます」

 好配当必至の夏の名物重賞。今年最後の函館で、豪快な"花火"を打ち上げるのはどの馬か。ここに名前が挙がった2頭であってもおかしくない。