◆MS&AD杯 国際親善試合 女子日本代表4―0ガーナ代表(13日・金沢ゴーゴーカレースタジアム) パリ五輪で3大会ぶりのメダル獲得を目指すサッカー女子代表「なでしこジャパン」は、国内最後の一戦でガーナに4―0で快勝し、本大会に弾みをつけた…

◆MS&AD杯 国際親善試合 女子日本代表4―0ガーナ代表(13日・金沢ゴーゴーカレースタジアム)

 パリ五輪で3大会ぶりのメダル獲得を目指すサッカー女子代表「なでしこジャパン」は、国内最後の一戦でガーナに4―0で快勝し、本大会に弾みをつけた。数的優位の状況でも苦戦していた0―0の後半開始から出場した五輪初代表のFW浜野まいか(20)=チェルシー=が1ゴール1アシストをマークした。14日に渡仏し、19日にコロンビア代表と非公開の練習試合を行う。五輪1次リーグ初戦は25日(日本時間26日)で、23年W杯女王のスペインと対戦する。

 苦しむなでしこを救ったのは、20歳の技術とガッツだった。後半20分、右CKをFW田中がニアでそらしたボールに、浜野が猛然と走り込んだ。相手DFともつれ、倒れ込みながらも右足で合わせた。先制点のアシストに続き、途中出場で1ゴール1アシストと躍動。「結果を残せて良かった」と笑顔が咲いた。

 0―0で迎えた後半からピッチへ入ると、投入6分で田中の先制点をスルーパスで演出。代表通算3得点目で追加点も決めた。チームは前半23分に相手の退場で数的優位に立つも、ゴールが遠く大苦戦。五輪不出場で世界ランク65位の10人を崩せなかったが「心に余裕を持って入った」という浜野があっさり重苦しい空気を吹き飛ばした。

 小学校時代は男子チームでプレー。6年生の時に当時のC大阪堺レディース監督だった竹花友也氏の目に留まった。「男の子かと思ったぐらい。何百人もの中で群を抜いていた。スピードも技術も違った。パスする必要がなかった」。同レディース加入後も「練習前は毎日1、2時間前に来てボールを蹴っていた。終わってからも電気を消すまで蹴っていた」。努力を惜しまない練習の虫は、メキメキと成長した。

 22年U―20W杯でMVPを獲得するなど順調にキャリアを重ねたが、昨年のW杯ではピッチで泣き崩れた。けがで1次リーグ全試合を欠場し、途中出場した準々決勝スウェーデン戦は1―2で敗れた。復帰をサポートしてくれたチームの期待に応えられず、涙が止まらなかった。「国を背負うってことがどれだけ大きいことか、分かっていなかった」。悔しさを晴らす舞台は、間近に迫っている。

 史上初の世界一に輝いた11年ドイツW杯では、開幕当初は控えだった丸山桂里奈や川澄奈穂美がゴールを挙げ、優勝を陰で支えた。昨年のW杯でも、前年リーグ戦わずか1ゴールの宮沢ひなたが得点王(5ゴール)に輝き、チームの8強入りに貢献。なでしこの躍進に“シンデレラガール”の登場は欠かせない。「五輪は想像できないぐらい大舞台だけど、想像できないから楽しみ。思い切ってプレーしたい」。花の都でのブレイクに期待がかかる。(岡島 智哉)

 ◆浜野 まいか(はまの・まいか)2004年5月9日、大阪・高石市生まれ。20歳。C大阪堺の下部組織からトップチームに昇格。21年にINAC神戸に移籍。23年にチェルシーへ完全移籍。スウェーデン・ハンマルビーへの期限付き移籍を経て、23年9月にチェルシーへ復帰。代表通算11試合3得点。165センチ、49キロ。