「高校野球兵庫大会・2回戦、甲南2-1灘」(13日、高砂市野球場) 兵庫大会では、甲南が灘に2-1で勝利して初戦を突破した。広島・新井貴浩監督(47)が甲南の次男・颯真投手(3年)を応援するため高砂球場に電撃来場。観戦後、14時開始のヤク…

 「高校野球兵庫大会・2回戦、甲南2-1灘」(13日、高砂市野球場)

 兵庫大会では、甲南が灘に2-1で勝利して初戦を突破した。広島・新井貴浩監督(47)が甲南の次男・颯真投手(3年)を応援するため高砂球場に電撃来場。観戦後、14時開始のヤクルト戦に間に合うように広島にとんぼ返りした。西東京大会では、東海大菅生が7回コールドで初戦突破。22年秋から同校の臨時コーチを務める元ヤクルト・宮本慎也氏(53)の長男・恭佑投手(3年)が先発し、父も見守る中、4回2安打無失点と試合を作った。

 午前11時10分、試合終了直前に高砂球場を出た新井監督は、耳に届いたスタンドからの歓声に「試合終わったね」とうなずいた。父の顔から優勝争いを繰り広げるチームを率いる監督の顔へと表情を変え、午後2時開始の試合に向けて足早に姫路駅へと向かった。

 次男・颯真の最後の夏を目に焼き付けるため、多忙な合間を縫って兵庫県まで足を運んだ。前日のヤクルト戦は午後8時56分に終了。この日は早朝6時起きで強行軍を敢行した。8時56分に試合開始。「高校野球って素晴らしいね」。三塁側スタンドでは他の選手の保護者と一緒に甲南のチーム帽、ポロシャツを身につけ、メガホンをたたいて応援。額の汗を何度もタオルで拭いながら、グラウンドに温かい視線を送った。

 颯真に出番はなかったものの、5度伝令でベンチを飛び出し、必死に試合に出ている選手をサポートした。「試合に出ていなくとも一生懸命、頑張っている姿というのは高校野球いいなって。いい夏にしてもらいたい」。献身的にチームを支える息子の背中がたくましく感じた。

 カープも延長十一回の死闘を制してサヨナラ勝ち。「もうね、最高。全然、疲れてない。朝は高校野球に力をもらって昼はうちの選手に力をもらって。ますます元気が出てきた」。“弾丸応援”となった過密な一日を最高の形で締めくくった。

 ◆新井 颯真(あらい・そうま)2006年10月2日生まれ、17歳。広島市出身。177センチ、72キロ。右投げ右打ち。一塁手兼投手。啓明学院中ではバスケットボール部に所属し、同時に関メディベースボール学院で野球を始める。甲南では2年秋に背番号13で初めてベンチ入り。今夏は背番号10。