(13日、高校野球山形大会1回戦、致道館11―1左沢、五回コールド) 四回、致道館の嘉門結太選手(3年)が代打で打席に入った。公式戦は2打席目、夏は初めてだ。 「自分の名前がスコアボードに載っているのを見て、感動しちゃって」。2球目をフル…

 (13日、高校野球山形大会1回戦、致道館11―1左沢、五回コールド)

 四回、致道館の嘉門結太選手(3年)が代打で打席に入った。公式戦は2打席目、夏は初めてだ。

 「自分の名前がスコアボードに載っているのを見て、感動しちゃって」。2球目をフルスイング。ライナー性の一塁ゴロに全力疾走を見せた。

 生まれつき両足首の可動域が狭い。それでも、同じ練習メニューをこなす姿が仲間を鼓舞する。

 小さいころ、野球ができるとは思っていなかった。「野球やろう」。中学で同級生に誘われ、軟式野球を始めた。致道館の渡部孝哉選手だ。

 嘉門選手は高校で一塁コーチになった。「自分の判断が勝敗に直結する。プレーの状況をしっかり見て声を出します」

 「いおり、たたけ。上げるな」。五回、一塁コーチスボックスから打席の五十嵐惟織(いおり)選手(3年)に大きな声をかけた。

 「野球は向いてないかな」。高校入学後に迷っていたとき、「一緒に野球やろうぜ」と何度も誘ってくれた仲間だ。五十嵐選手の適時打でコールド勝ちが決まった。

 野球との出会いをくれた仲間とともに、次戦は昨年の覇者・日大山形に挑む。一塁コーチとして役割を果たす決意だ。(坂田達郎)