(13日、高校野球福島大会1回戦、平工9―10安積) 安積の坂井李成(りせい)投手(3年)は7―7の同点で迎えた八回、4人目としてマウンドにあがった。ベンチから出る時、先発した後藤冴希(さえき)投手(3年)に「目の前のバッターに集中しろ」…

 (13日、高校野球福島大会1回戦、平工9―10安積)

 安積の坂井李成(りせい)投手(3年)は7―7の同点で迎えた八回、4人目としてマウンドにあがった。ベンチから出る時、先発した後藤冴希(さえき)投手(3年)に「目の前のバッターに集中しろ」と気合を入れられた。押し出し四球を与えるも最少失点で切り抜け、チームは延長十回タイブレークの激戦を制した。

 2人は同じ日に同じ郡山市内の病院で生まれた。中学時代に市選抜で一緒になった際、その事実を知った。「運命だ」と口をそろえる。

 坂井投手が県内有数の進学校の安積に行くと知ると、後藤投手は「安高(あんこう)で一緒にプレーしたい」と同じ進路を選んだ。不思議と考えていることが同じで、部室の雑談で発言が重なると「またハモってる」といじられる。2人ともラーメンが好物。放課後や休日に一緒に店を巡る。

 投手としてのタイプは正反対だ。最速130キロの直球で押す坂井投手に対して、精度の高い変化球で打ち取る後藤投手。春は坂井投手がエースナンバーを背負い、後藤投手が背番号10だったが、今大会では入れ替わった。

 坂井投手は「悔しかったけど、野球にストイックな冴希なら任せられる」。後藤投手は「自分は気持ちが強くないので、李成の気迫ある投球から刺激をもらっている」。互いに高め合ってきた2人の夏は続く。(酒本友紀子)