(13日、第106回全国高校野球選手権栃木大会1回戦 足利2―1那須清峰) タイブレークの十回裏無死一、二塁、足利の糸屋絢太朗(3年)の打球が中前に飛んだ。主将で二塁走者の目黒尚英(3年)が失策を突いてサヨナラのホームを踏むと、ベンチの仲間…
(13日、第106回全国高校野球選手権栃木大会1回戦 足利2―1那須清峰)
タイブレークの十回裏無死一、二塁、足利の糸屋絢太朗(3年)の打球が中前に飛んだ。主将で二塁走者の目黒尚英(3年)が失策を突いてサヨナラのホームを踏むと、ベンチの仲間が一斉に目黒に駆け寄った。
目黒にとっては2年ぶりの夏の大会だ。昨年は練習で顔に打球を受け、欠場を余儀なくされた。
今夏にかける思いは特別だった。筋トレと食事の管理で冬場に7キロの増量に成功。誰よりも走り、バットを振り、背中で皆を引っ張ってきた。
5月末、まさかのアクシデントが起きた。学校行事で、左足首の靱帯(じんたい)を切った。「中心選手の目黒がいるかいないかで違うチームになってしまう」と須永穂積監督も天を仰いだ。
目黒にはあきらめるという選択肢はなかった。不安を捨て、上半身の強化に意識を切り替えた。
どうにかけがが癒え、迎えた初戦。初回に先頭で安打を放つと、いきなりのヘッドスライディングでベンチを鼓舞した。「塁に出れば、仲間が打ってくれる」。最後も仲間を信じ、そして自らの足を信じて接戦の勝利をもぎとった。(高橋淳)