(13日、プロ野球 広島東洋カープ1―0東京ヤクルトスワローズ) 左翼に伸びた一打が、両チームのゼロ行進を終わらせた。広島の石原貴規が延長十一回、本塁打を放つ。初のサヨナラアーチに「不思議な気持ちでベースを回った。うれしくて、はしゃぎすぎま…

(13日、プロ野球 広島東洋カープ1―0東京ヤクルトスワローズ)

 左翼に伸びた一打が、両チームのゼロ行進を終わらせた。広島の石原貴規が延長十一回、本塁打を放つ。初のサヨナラアーチに「不思議な気持ちでベースを回った。うれしくて、はしゃぎすぎました」と笑った。

 延長十回の守備からの出場で、最初の打席だった。思い切りの良さが魅力の右打者は、左腕・田口麗斗の外角から入ってくるスライダーを振り抜く。チームはそれまで何度も得点圏まで走者を進めながら決定打を欠いていた。そんな嫌な空気を一発で消し去った。

 兵庫県出身のプロ5年目の捕手。2年目は出場60試合だったが、翌年は9試合で、昨季は1軍での出番がなかった。「今年こそ」と臨んだ春季キャンプ前に新井貴浩監督に提出したリポートで「長打を増やす」という内容を書いた。

 3番手捕手の位置づけの現在は、試合がない日も球場に来て、マシンを使って打撃とキャッチングをこなす。指揮官は「すごくまじめで、明るいムードメーカー。本当にいいものを見せてくれている」と評価する。

 チームが今季初のサヨナラ勝ちをした6月27日も、石原が13球粘る四球で次打者につなげて決勝打が生まれていた。

 春先にこう言っていた石原。「少ない出番の中でも、何か一つ、爪痕を残していく。使いたいと思ってもらえるような活躍が出来るようにしたい」。大きな成果を残す一振りだった。(上山浩也)