(13日、第106回全国高校野球選手権茨城大会2回戦 下館一5―2下館工) 1点差の五回裏1死一、二塁。下館工の遊撃手・佐藤翔英(3年)は、二遊間を抜けそうな鋭い打球にグラブを差し出して捕球し、二塁へ送球。アウトを取ると、小さくガッツポーズ…

(13日、第106回全国高校野球選手権茨城大会2回戦 下館一5―2下館工)

 1点差の五回裏1死一、二塁。下館工の遊撃手・佐藤翔英(3年)は、二遊間を抜けそうな鋭い打球にグラブを差し出して捕球し、二塁へ送球。アウトを取ると、小さくガッツポーズした。

 六回も、先頭打者が放った内野安打になりそうな打球を捕球し、ジャンピングスローで出塁を阻んだ。好守でバッテリーをもり立てた。

 父の正弘(55)も、1歳上の兄・隆亮(18)も下館工野球部の出身。昨夏、兄の代は初戦で敗れた。2年生だった翔英はベンチ入りできず、スタンドから応援していた。

 「本当は兄と一緒にグラウンドに立ち、母校が勝つ姿を父に見せたかった」。その思いから、この1年は誰よりも熱心に練習に励んだつもりだ。基礎的な守備練習を大切にし、内野の要としてレギュラーの座をつかんだ。

 迎えた夏。初戦を前に父に言った。「今年はチームに貢献してくるから」。試合は、中盤まで1点差の接戦になった。

 二回、六回には、翔英自身が四球や敵失で出塁し、三塁まで迫った。だが、次の1点が遠かった。

 「勝つところを見せてあげたかった」。試合後、そう言いながらも胸を張った。「チームのために力は尽くせた。そこだけは、家族に自信を持って言える」(古庄暢)