◆国際親善試合 女子日本代表4―0ガーナ代表(13日・金沢ゴーゴーカレースタジアム) パリ五輪サッカーの日本女子代表「なでしこジャパン」は、国内最後のテストマッチとなった国際親善試合のガーナ戦に4―0と勝利した。前半は無得点と停滞したが、後…

◆国際親善試合 女子日本代表4―0ガーナ代表(13日・金沢ゴーゴーカレースタジアム)

 パリ五輪サッカーの日本女子代表「なでしこジャパン」は、国内最後のテストマッチとなった国際親善試合のガーナ戦に4―0と勝利した。前半は無得点と停滞したが、後半にゴールラッシュ。元日本女子代表FWの大竹七未氏(49)は、セットプレーで3得点に絡んだMF藤野あおば(20)=日テレ東京V=について「宮間あや以来の頼りになるキッカー」と高く評価した。さらに「パリ五輪でメダル獲得の確率は高まっている」と期待を込めて語った。

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 収穫の多い試合だった。特に20歳の藤野と浜野の成長と存在が際立っていた。

 藤野はキッカーとしてセットプレーから3得点に貢献した。2011年女子W杯優勝メンバーで、澤穂希と並ぶレジェンドの宮間あや以来の頼りになるキッカーになった。

 柔らかいボールを蹴っていた宮間に対して、藤野は膝の下の振りが鋭く、強いボールを蹴る。タイプは異なるが、この日の藤野は宮間と同じくらいの正確性と安定感があった。直接FKを決めたゴールは見事。ゴール左上隅に突き刺さり、男子のGKでも止めることが難しかったと思う。

 頼りになるキッカーがいることはチームにとって心強い。苦しい試合展開の時「あおば(藤野)がいるから、ひとつのセットプレーで得点のチャンスがある」と踏ん張れる。パリ五輪で、藤野は大事な仕事をしてくれるだろう。

 浜野は「こんなにうまくなったのか」と驚いた。ゴール前でも常に冷静。シュートはうまいし、シンプルにプレーするので周りの選手を生かすこともできる。

 所属クラブのチェルシーでは普段の練習でドローンを活用していると聞いている。練習後、上空からの映像をチェックし、プレーの質を上げている。毎朝、英語の勉強にも熱心で、サッカーに取り組む姿勢も素晴らしい。

 伸び盛りの藤野と浜野は、パリ五輪期間にもさらに成長するはず。楽しみだ。

 チーム全体としても上向きだ。やりたいことが分かり合えている。パスコースが多く、選択肢が多いので、相手は守りにくい。

 池田監督のオプションも増えている。ガーナ戦では熊谷がアンカーとして先発した。高い位置でボールを奪いにいくことが狙い。パリ五輪でも相手や展開によって熊谷のアンカー起用はあるだろう。11年女子W杯優勝を知る熊谷は唯一無二の存在で、どのポジションに入っても守備の要。本当に頼りになるキャプテンだ。

 課題を挙げれば、前半の決定機に得点ができなかったこと。相手が強くなればチャンスは多くない。先取点を奪って主導権を取ることが大事になる。

 ただ、課題よりも、収穫や期待の方が上回る。メダル獲得の確率は高まっている。パリ五輪の開幕をワクワクして待ちたい。(元日本女子代表FW)