(13日、第106回全国高校野球選手権静岡大会2回戦 川根1―8聖隷クリストファー) 川根の応援席には、現役の吹奏楽部員10人に、卒業生が加わった。 フルートを担当する部長の長嶋美羽さん(3年)は「強い相手だけど、演奏で選手を支えられるよう…

(13日、第106回全国高校野球選手権静岡大会2回戦 川根1―8聖隷クリストファー)

 川根の応援席には、現役の吹奏楽部員10人に、卒業生が加わった。

 フルートを担当する部長の長嶋美羽さん(3年)は「強い相手だけど、演奏で選手を支えられるよう一致団結しようと部員同士で話し合った」。昨春卒業した大学生の志太愛子さん(20)=浜松市=はトロンボーンを吹く。「在学中はコロナで球場応援に来られなかった。最近は大勢で一緒に吹く機会がなかったので、大人数で演奏ができて楽しい」と話した。

 応援席には子どもたちの姿も。島田市の川根中3年の福手晴一さん(14)は同級生4人で観戦した。中学では遊撃手で、進学先で野球をやるかどうかは決まっていないという。「地元の高校の初戦なので見に来た。ここから逆転してほしい」と声援を送った。

 46年ぶりとなるシード校として選手たちは挑んだが、2安打2犠打に抑えられるなど、相手投手を打ちあぐね、バントを駆使する本来の持ち味は影を潜めた。六回表2死一、二塁の好機に左中間へ適時打を放ち、一矢報いた安藤烈選手(3年)は「スピードはさほど速くないと感じたが、キレがよく、最初は勢いに押された」。真鍋彰太主将(3年)も「直球のキレがよく、合わせようとして詰まり気味になった」と悔いた。

 沼津市立門池中出身で今春入学したマネジャーの米山葉月さん(1年)は「楽しそうに野球をする先輩たちを見られなくなるのはさみしい」と目を赤くして話した。入部当初、何をしたら良いか分からず戸惑う自分に、3年生から声をかけてくれたという。「急に入った私を受け入れて、グラウンドに立たせてくれてありがとう、と伝えたい。これからは1、2年生と頑張りたい」と語った。(田中美保)