高校野球の発展や選手の育成に尽くした指導者を日本高校野球連盟と朝日新聞社が表彰する「育成功労賞」に、笠田高(香川県三豊市)野球部監督の土井由喜さん(64)が選ばれた。第106回全国高校野球選手権香川大会の開会式で表彰された。 観音寺市出身…

 高校野球の発展や選手の育成に尽くした指導者を日本高校野球連盟と朝日新聞社が表彰する「育成功労賞」に、笠田高(香川県三豊市)野球部監督の土井由喜さん(64)が選ばれた。第106回全国高校野球選手権香川大会の開会式で表彰された。

 観音寺市出身。観音寺一から日本体育大に進学し、野球部で外野手を務めた。卒業後の1984年に県立ろう学校の保健体育の教員として採用され、87年から坂出工業で初めて野球部の監督に就いた。

 教え子には「たとえ技術がなくても気持ちを前面に出して戦おう」と伝え、叱るよりも「褒めて伸ばす」ことを意識した。

 根っこにあったのは、大学時代、プレッシャーに押しつぶされ、自信を持ってプレーができなかった悔しさだ。

 母校、観音寺一の監督時代には、次男の悠真さんと共に親子鷹(だか)で2年連続、夏の香川大会の準決勝に進出した。だが、甲子園には届かなかった。

 「ああすれば良かったのかな、こうすればよかったのかなと、後悔ばかりの野球人生ですよ」

 監督や責任教師など指導者としての経歴は通算37年。野球だけではなく、あいさつや掃除など「当たり前のことを当たり前にやることの大切さ」も説いてきた。いま、その考えを受け継いだ教え子が指導者や審判として活躍している。

 「やりたくてもやれない人がたくさんいる中で、長いこと監督をやらせてもらった。生徒、親、OB会、学校、監督の立場を任せてもらったすべてのみなさんに感謝です」

 今夏の香川大会を最後に、監督を退任する。11日にあった小豆島中央戦は0―7で敗れた。試合後のラストミーティングで、選手たちに「これからも野球をやめるなよ。これからも頑張れ」と声をかけた。(和田翔太)