「高校野球広島大会・2回戦、神辺旭6-1広島工」(12日、ぶんちゃんしまなみ球場) 神辺旭が春夏通算10度の甲子園出場を誇る広島工を下し、初戦を突破した。最速149キロのエース・冨原朔投手(3年)が7安打1失点、7奪三振で完投。力強い直球…

 「高校野球広島大会・2回戦、神辺旭6-1広島工」(12日、ぶんちゃんしまなみ球場)

 神辺旭が春夏通算10度の甲子園出場を誇る広島工を下し、初戦を突破した。最速149キロのエース・冨原朔投手(3年)が7安打1失点、7奪三振で完投。力強い直球とカットボールの制球が抜群だった。投手を始めたのは高1の秋。まだまだ発展途上の右腕が圧巻の投球で、確かな才能を光らせた。

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 細身の体からは信じられないような剛速球が捕手のミットに吸い込まれる。マウンド上では崩れなかった表情も、快投劇を振り返りながらほぐれていった。冨原が古豪・広島工に対し、1失点で完投勝利。「初戦は大事にいきたかったので、まずは1勝出来て良かった」と白い歯をこぼした。

 四回までは完全投球。五回以降は「少しバテました」と苦笑いで振り返るように、走者を背負いながらの投球が続いたが、六回の1失点のみでまとめた。この日の最速は148キロ。「60点ぐらいですかね」と後半の乱れを反省し、自己評価は控えめだった。

 投手を始めたのは意外なタイミングだった。1年秋の大会直前に、部内でコロナのクラスターが発生。投手の頭数が足りなくなり、初戦の先発に抜てきされたのが冨原だった。中学では内野手を務めており、肩の強さには自信があったが、本人も驚く起用だった。

 そしてこの試合で眠っていた才能が開花する。最速136キロを計測し、初の公式戦で完封勝利。この日を境に本格的に投手へ転向した。

 入学時の体重は51キロだったが、ウエートを2日に1回は取り入れるなどで、現在は67キロまで増加。6月中旬の練習試合で自己最速を更新する149キロをマークし、本人も「ここまで伸びるとは思っていませんでした」と想像を上回る成長曲線を描いてきた。次戦へ向け「まだ練習できる時間があるので、良い準備をしたい」と冨原。ダイヤの原石はまだまだ光り輝く。

 ◆冨原 朔(とみはら・さく)2006年4月25日生まれ、18歳。広島県福山市出身。173センチ、67キロ。右投げ左打ち、投手。春日小1年から軟式の坪生ファイターズで野球を始め、培遠中時は硬式の尾道リトルシニアに所属し、内野手としてプレー。神辺旭入学後に投手に転向。持ち球はカットボール、カーブ、フォーク、チェンジアップ。最速149キロ。